第26話【お年玉】

 壮絶なる年を越え、彼等が僕の手から放れた時――――脳内に声が聞こえた。



 英世『〝親〟に渡すのは、一種のギャンブルである……えっ?僕は返されるの?』


 一葉『〝一番大切〟なことは親兄弟の為や家の為にすることです……また会えるその時まで』


 諭吉『努力は、〝天命〟さえ変える事が出来る……未来で会おう』



 天の上に人を作らず、人の下に人を作らずとはよくいったものだ。


 大人になった僕は、心の中でそう呟きながら改めて有り難みを知った。

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