桔梗の君

千代田 白緋

ある男はある女を想う

固定概念、偏見に固められた外見を重視する現代では人間は歩く『像』である。その材質と形、胸にある気持ちという名の「花」が違うだけ。あの夢を見てから、彼女がいなくなってから、あの絵を見る度、この事ばかりを考えてしまう。彼女は絵になりたかったんだ。その夢を俺は叶えられたじゃないか。なのになぜだろう。俺の心は晴れないままだった。

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