第5話 第一原理解説

 原理とは原則よりも広い意味のものの拠って立つ根本法則です。三つの原則が一つの原理を構成します。

 全ての存在には読み取れる『相』がある、と第一感覚原理則は知らせています。

 しかしあなたは、もの自体を読み取っていますか。我々は、もの自体を読み取ることはできません。ものの関係を何らかの変化によって解釈しているだけです。物に光が当たり、物と光の関係を、物に当たった光を使って眼というレンズで調節し網膜で受けて色の組み合わせという頼り無いステレオタイプで解釈して、醜い、綺麗、ものである、と解釈しているのです。それを見ていると我々は言います。虫眼鏡を誰も覗かないで置いておいても誰が虫眼鏡が見ているといいますか。

 また、我々は、もの、ですから、ものの中にいます。水中で水の本来の重さを感じることができないように、空気中では空気の重さを感じることはできません。ものの中にいる我々も、ものを本当に正しく知ることはできません。

 もの、を、こころ、に置き換えても同じ事です。我々は他人のこころの中を知りようがないのですから、それぞれ別の心の中にいると考えてみてください。自分のこころにいるのに自分のこころを正しく知ることができますか。それでも他人のこころを読み取ることさえできます。それは、自分のこころの中に他人のこころが、あるからでしょうか。徹底的な主観化はΔορουπ世界では幼稚なヒトくらいしかやりません。

 変化を解釈するすべで関係を解釈できれば、読み取るとは、その事実です。『相』を読み取るとは、自分の犬を傷付けられ全く同じ様に自分を傷付けられてみて、比較して自分のこころの痛みが分かるように、対象に変化があるところで、自分のこころの中の対象の全く同じような変化を比較できて、知ることのできないはずの『相』をそれを越えたところから読み取るのです。計ることなどできません。全ての場合は違うのです。全ての意味は違うのです。

 『相』の変化は、こころを越えた領域をこころで感じ、解釈を越えた領域を解釈しなければなりません。ある種の精神の病気と呼ばれる知性を備えなくては理解も難しいでしょう。無知な者は理解できないものに賞賛か畏怖か嫌悪を示すと言います。魔法魔術もまたそういったものなのでしょう。

 魔法の原理も知性にとって永久に神秘なままであるものの一種ですから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る