第2話 世界の名を求めて


 剣と魔法の支配する世界『ドループ(希Δορουπ)』。その名称は失われた本当の世界の名を伝えたものではない。この名前の意味は、「失われた魂」という。

 かつて人が名前『虚無』の内から奪った『世界の名』は、人が神々の知恵を得たのだと謳われた。実際、それは魔法文明の素晴らしい栄光をもたらし、永遠の繁栄を人類に約束したかのようにみえた。人は世界の本質を操る精巧な象徴(シンボル)の体系化によって魔法万能の時代を迎え、創造神の生み出した壮大な世界法則の書き換えを進行させていった。

 しかし神々の知恵を得た人の欲望は飽くことを知らず次に神々の力を求めた。神々によって名前『狂気』の内に隠された名前『魂』の秘密を奪おうとして、名前『心』を『狂気』に決定的なほどむしばまれてしまう。人に備わっている名前『心』とは狂気に犯されるものだったのだ。その直後、人の間には互いを権力の支配下に置こうと求める激しい抗争がわきおこった。『世界の名』は度重なる争奪にさらされた。『世界の名』を奪って独り占めするには『世界の名』によって書き換えられることによるのである。その激しいいくさによって貴重な『世界の名』は人自身が生み出した名前ですらない『混沌』という虚無へ再びかえされてしまった。かつて人が用いた業ではとても到達できない錯綜する混乱の奥底に、象徴は深く深く呑み込まれていってしまった。その深さは人の欲望そのものだからどうしても届かないのだという。こうして人は再び『世界の名』を回復すべく多大な努力を支払うことになった。そしてそれは失われたまま、今に至ると伝えられる。


 この世界の名を求めるために冒険するというのが幻創世界ドループの基本的な遊び方になります。パワーワードやセミワードの防御されたものが一般的な地下迷宮や塔でセキュリティが施されている。それを突破していくという形式が一般的だと想定されています。

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