その後の彼女たち8
「うん。葵にずっと会いたかったから寂しかったよ。折角会えるから葵との時間を長く取りたかったし、葵を長く独り占めしたかったからね」
「わ、…私は、由季の……彼女だから、独り占めもなにも…」
「いつも忙しいから今だけはってことだよ。いつもは皆の葵って感じだもん」
「そ、そんなこと……ないよ……?」
由季は照れることなく言ってきたから私の方が照れてしまった。いつもストレートにはっきり伝えてくれるから嬉しいけど、嬉しすぎて熱い。私はいつも由季のなのに、独占したいって思ってくれたのかな?前に嫉妬してくれた時を思い出して嬉しくて堪らなくなる。由季は笑ってキスをして舌を絡ませてきた。
それがさらに嬉しくて私は由季にすがるように抱き付いた。
「……あおい……んっ……好き」
「はぁっ……ゆ、き……」
由季に私の感じるとこを舌でなぞられてぞくぞくしてしまう。気持ちよくて力が抜けちゃいそう。
由季が唇を離した時にはもうする気にさせられてしまった。
「可愛い葵」
「由季……んっ……もっと……」
首を舐めながらキスをしてきた由季に我慢ならなくてせがんでも由季はそのままだった。
「あとでね?今は…ちょっとだけ…」
「あっ……でも、もうしたい……」
「ご飯もお風呂もまだでしょ?」
そう言うくせに抱き締めていた由季の手はする時のように身体を這ってきてむずむずする。いろんな所を触られて思わず吐息が漏れてしまう。触られるのは嬉しいし少し感じてしまうけどちゃんと触れてほしいよ。
「ゆ、……由季」
「なに?」
「んっ……はぁ、……なんで、してくれないの?」
「だからあとでって…言ってるでしょ?」
「あっ…ん!……今、したい……。もうしようよ…」
耳を噛まれてちょっと濡れてきてしまったところで由季は軽くキスをして離れた。
ここまでされたら疼いてしょうがないのに由季はいつもみたいに笑っていた。
「あとでやるから待って。ごめんね?葵と会えたの嬉しくてがっついちゃった。先にご飯食べよう?あとお風呂も。準備してあげる」
いつもと変わらない由季はそのままご飯の準備を始めてしまった。がっついても私は嬉しいから良かったのに。私を考えてくれるのは嬉しいけど由季みたいに私は我慢もできないし切り替えられない。
私は収まらない気持ちをぶつけるように由季に後ろから抱き付いた。
「由季……いいからしよう?」
「でも、まだご飯が……」
顔をこちらに向けた由季に断られたくなくてキスをした。ずっと寂しくていっぱい我慢したのにここまでされて我慢できない。由季に触れてほしくて、由季が欲しくて堪らない。唇を離してすぐに由季に断られないように強く抱き付いてねだった。
「このままじゃやだ。……もうしたくなっちゃったし、……こないだ由季次にしようって言ったよ?」
「それは、…そうだけど……」
「してくれなきゃやだ…」
困った顔をする由季に言われる前に遮った。ご飯が心配なんだろうけど今は由季しかいらない。
「由季…。もう早くしたい……」
「…もう、分かったよ。じゃあおいで?ベッドでしよ?」
やっと言うことを聞いてくれた由季は私の手を引いてくれる。ベッドに座らせてくれた私よりも先に由季は服を脱ぎ出した。
「ご飯は食べさせないとだから我慢しようと思ったのに…。葵がねだるからいつもよりやる気なんだけど私」
笑う姿は興奮なんか感じさせないのに、由季はやる気になってくれたみたいだ。私も服を脱ぎながら嬉しくてちょっぴり恥ずかしくなった。
「じゃあ、……由季いっぱいしてくれる?」
「うーん。葵がしたいだけね?」
「じゃあ、いっぱいだよ?いっぱいしてくれたら由季のご飯沢山食べる」
「ふふふ。じゃあ、頑張らないとだね私」
途中で電気を消してくれた由季は下着を脱ごうとしていた私の手を止めて下着を脱がしてくれた。本当にやる気になってくれたのか疑うくらい手つきは優しかった。
「私の方がしたくなってたらごめんね?」
「嬉しいからいいよ?私も…絶対したいもん…」
「ふふふ。ありがと。大好きだよ葵」
「うん。私も大好き…」
キスをしてくれる由季に私は身を委ねた。
いつもよりやる気になってくれたんじゃあの顔がもっと見られる。
そう思うだけで私も興奮していた。
由季の手が気持ちいいとこばかりに触れる。
あぁ、堪らない……。堪らない堪らない堪らない。
由季が好きすぎて頭がおかしくなりそう。
私はしてる間何度も何度も由季にねだっていた。
興奮が収まらないのは由季も一緒だった。
あの顔をする由季は本当に私を求めてくれて、私は堪らなくなって何度もイってしまっていた。気持ち良すぎて我慢できなくて由季を汚してしまっても由季は私が求めるのに応えてくれるし、前のエッチよりも激しくて終わった時の疲労感はすぐに眠ってしまいそうなくらいだった。
それでもシャワーを浴びてちょっとご飯を食べて、由季は私を抱き締めていつものように背中を撫でてくれたけど今日は先に寝てしまった。
私も寝ようと思ったけど由季の寝顔に胸が擽られてしまって眠気が飛んだ。
さっきまであんなに求めてくれてドキドキさせてきたのに今はすっごく可愛い子供みたい。
した後なら由季はいつもみたいに起きちゃうことはないからそっと頬に触れた。
最初は凄く優しくて綺麗な人だなって思っていたけど、ずっと一緒にいたら由季は可愛いく見えて仕方ない。どうしちゃったんだろう?好き過ぎるからかな。
いつも察しがいいのにたまに鈍感なとこも可愛いし。これに関してはちょっと恥ずかしいから照れちゃうけど。
それに、由季は出会った時からずっと優しくて私のお願い全部聞いてくれるし、愛してくれる。
本当に、幸せだな。
この幸せがずっと続けばいいのに……。
いつか終わってしまいそうに感じてしまう幸せを私は噛み締めた。
今日は由季の手を舐めてあげたら気持良いって前みたいに言ってくれた。あれは恥ずかしいけど由季が喜んでくれるから頑張ってこれからもするつもりだ。それよりも由季の上で動くのがした後に凄く恥ずかしくなる。
気持ちいいんだけど、あれは、……由季を汚しちゃうし、気持ち良くなりすぎてなんか頭が痺れるような感じがしてしまう。由季が離してくれないから尚更感じちゃうし。まぁ、でも、由季が求めてくれるなら……何でもいいんだけど。
思い出して少し恥ずかしくなるも眠っている由季が可愛くてそんな気持ちはなくなった。私は由季に触れるだけのキスをした。もっと自分からキスできるようになりたいけど、あんまり自信がなくて恥ずかしい。前に私から沢山キスした時は喜んでくれたけどあの時は由季を考えてたらああしなきゃってなったからだし……、今考えると恥ずかしすぎてもうできない。由季は優しいから下手とか絶対に言わない人だけど私はやっぱり下手だもん。
でも、今ならできるから私はもう一度キスをした。
由季は相変わらず寝てる。寝てるのに安心して由季をじっと見つめた。由季を見ていると嬉しいのに怖くなる。
由季はいつまで私を好きでいてくれるんだろう。
幸せを感じるといつも恐怖がやってくる。
大好きで一番信用してるのに、この時間に限りがあるように感じてしまう。一緒にいようって言ってくれたし、愛してるとも言ってくれたのに、由季と離れていたあの時の記憶が私を不安にさせてくる。
捨てられたくない。嫌われたくない。
私以外を見ないでほしい。由季が好きでいてくれるように頑張るから私を一人にしないでほしい。
由季がいないと、私は本当に生きていけなかった。
由季がいなかった時間は苦しいだけで辛くて耐えられない。昔はずっと一人だったからこういうものだと思ってたけど由季と二人になってからとても耐え難いものになった。
だから、由季がいない世界で生きるならもう次は本当に死のうと考えている。
由季には死ぬなんて言わないでって言われたからもう言わないけど、二人でいれないなら生きるより苦痛だから由季が完全に私から離れてしまった時は私は私を終わりにする。
私には由季の次なんかないから由季がいないなら終わりでいい。由季以外愛せないし、愛されたくもない。由季以上に私を愛してくれる人なんていないのを知ってる。
だって由季以外は本当に信用できない世界だから。
嫌な世界だからよく分かってる。
この世界で生きるには由季は必要不可欠だった。
嫌なものを消してくれるのはこの人だけだ。
だけど由季は私をずっと好きでいてくれるのかな?
私は由季しか好きじゃないけど、由季の回りには沢山いい人がいて由季は皆に好かれてる。
私が得られなかった欲しかったものを全て持っている由季は遠い存在の人だった。きっと由季が私を気にかけてくれなければ私は話しさえもままならなかっただろうし、こんな関係にもなれなかった。
そんな由季を、私とは本当にかけ離れている由季を私がずっとどこにも行かないように縛り付けている。
それなのに、私だけ好きでいてくれる?
私は病気でおかしいのにずっと一緒にいてくれる?大して何もしてあげられない醜くて無様な私を由季はそれでも愛し続けてくれる?
先のことを考えれば考えるほど怖かった。
由季の気持ちは信じてるけど私には数えきれない程欠点がある。由季の思いやりに比べたら私の思いやりなんか思いやりなんて呼べなくて、自分が本当に嫌だった。由季が好きだって言ってくれるのに私は私が好きになんてなれない。なにも上手くできないんだもん。
上手くなりたい、何かしてあげたいって思っても私は全くできなくて、それなのに由季に対する欲は止まることを知らない。
求めるだけじゃダメなのに、求めるだけの私の何を好きでいてくれるんだろう。
自分が嫌すぎて、それでも由季が好きだから由季に抱き付いた。涙が溢れてきてしまってどうにもできなかった。
由季、由季、由季。好きだよ。好きだけど私はこんなんで本当にごめんね。私こんなだけど由季のために変わるから。できなくても由季がずっと好きでいてくれるように努力するからいなくならないで…。
「あおい……?どうしたの?泣かないの」
鼻を啜って泣いていたら由季が起きてしまった。優しく背中を撫でてくれる。病気の症状が悪かった時もこうしてくれた。そんな優しさは今は罪悪感しか感じなくて泣きながら謝った。
「由季……ごめんね」
「ううん。なにも謝らなくていいよ。不安になっちゃった?寝るまで起きてるから大丈夫だよ。そばにいるから」
「……うん。……ごめんね由季」
「いいよ葵。大丈夫だから。好きだから不安にならなくていいからね」
由季の愛情は私を安心させてくれるのに、まるで呪いのようだった。
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