第78話


「えー良いじゃん由季!やろーよ!翔太もなんかやるでしょ?」


食い下がらないレイラは私の腕を引っ張って翔太に目を向けた。


「まぁ、店がやるから適当にはやるけど」


「ほら!私達もやるからやろ?ね?」


翔太を仲間にされても困る。レイラは楽しそうだけど私は全くやる気がない。そもそも職場で白衣だしそれがコスプレみたいなもんだからこう言われてもどうでも良かった。


「だから私はいいってば。他の皆でやりなよ」


「えー!何でよけち!バカ!あとでやりたいって言っても知らないからね?」


レイラは前からこういうイベントを楽しんでいるけど私は毎回見ているだけだ。絶対後からやりたいなんて言わないけどちょっと不機嫌なレイラにちゃんと返事はした。


「うん、言わないから平気。また写真撮ってあげるよ。でも露出し過ぎちゃだめだよ」


私が苦笑いしていると翔太も同意してきた。


「本当だよ。レイラ去年みたいな露出全開みたいなの止めろよ」


「えー?去年可愛かったじゃん。ね?由季」


翔太はジト目で私を見るけどこれは翔太から止めろと言うメッセージだ。去年は確かに可愛かったけどデビルの格好をしたレイラは男ならそれはそれは目のやり場に困るようなエロい服だった。あれのせいで回りに男が群がっていて、そんなレイラの隣にいた私は居心地は悪いしナンパを避けるのに大変だった。またああなったら面倒臭い。私にも被害が及ぶので翔太の気持ちは汲んだ。


「去年は可愛かったけどもう少し控えめなやつにしなよ?…ほら、時期的には寒いし皆で飲むだけなんだから」


頭ごなしに注意はできないので私なりに注意をするとレイラは少し不満そうな顔をしたけど一応納得してくれた。


「もー、分かったよ。今年は控えめにするよ。でも可愛いやつなのは確定だからね!」


「はいはい」


その返事に私も翔太もホッとした。でもレイラだから予想外なこともあるだろうし当日にならないとはっきり大丈夫、何て言えない気がする。不安は少しばかりあるし、その時はまた私が何か言われると思うけどレイラを信じようと思う。


それからいつも通り皆で話ながら酒を飲んで私は葵の言いつけもあるので適当に誤魔化してから早めに解散した。

葵は遊んだりするなら私と二人の方が好きだし大人数は苦手だと思うけどそれでもハロウィンと言うイベントには惹かれた。

これなら絶対に良い刺激になる。



私はどう誘うか悩みながら約束した一週間に一回会いに行く日を迎えた。仕事終わりに葵の家に向かうけど今日は少し遅くなるみたいで私の方が早かった。家についても葵はいなくてコンビニで適当に買って来た物を食べて風呂に入ってテレビを見ていたら葵が帰ってきた。日はまたがないけどやっぱり芸能人だから忙しいんだなと思いながら目を向ける。葵は嬉しそうに笑って来た。


「由季ただいま」


「おかえり。仕事お疲れさま葵」


葵は荷物を置くとベッドに座っていた私に抱きついてきた。ほんの数日間しか会ってなかったのに会えたのが余程嬉しいみたいだ。


「明日も朝早いの?」


そんな葵の背中を軽く撫でながら問いかけると葵はさらに強く抱きついて答えた。


「明日は夕方からだから早くないよ」


「じゃあちょっとゆっくりできるね」


「うん」


体を離すと相変わらずの可愛らしい笑顔の葵にキスをする。まだ休みじゃないみたいだけど明日は少しゆっくりできるみたいで安心した。


「お風呂入る?それともお腹減ってたら何か買ってきてあげるけど、あ!飲み物とかは買ってきてるから喉が乾いてたら…」


「へ、平気だよ。…えっと…由季?あの、それよりね、今日は私……疲れはあるけど、あの…疲れてないから…その……」


もじもじしている葵はこないだの約束をしたいみたいだけど私は忘れてもいないし今日か明日にしようと思っていた。葵が今日したいならしないはずがない。はっきり言えなさそうな葵に笑って頷いた。


「分かってるよ。こないだの約束でしょ?ちゃんと覚えてるから。じゃあお風呂入ってきて?」


「う、うん。寝ちゃだめだよ?」


「寝ないよ。ほら早く行ってきな」


もう一度キスをして急かすと葵は少し急ぎながら風呂に向かった。本当にあの子は可愛らしい。求められているのを感じてこっちもかなりその気になってきてしまう。色々葵と話したいこともあるけどまずは約束を果たさないと。


携帯を弄りながらベッドでしばらく待っていると葵は風呂から早めに出てきた。そんなに急がなくても私の気が変わることはないのに内心何だか笑えてしまう。


「ちゃんとお湯に浸かったの?こんな時間まで疲れたでしょ?」


「大丈夫だよ。ちゃんと入ったし足が楽になったよ」


少し火照ったような顔をしている葵は冷蔵庫を開けて飲み物を飲むとすぐに私の元にやってきた。葵の目はもうスイッチが入っているようだった。また話しかけようとしたら珍しく葵からキスをされた。お預けを食らっていた葵は相当我慢していたのか何回かキスをしながら私の上に跨がった。


「由季……私、この前からずっとしたかったから……今日は……激しくして?」


「うん、いいよ」


私が返事をすると、葵は恍惚としたような熱い眼差しで私を見つめながら服を脱いでいく。それがやけにいやらしくてそそられて、それだけで私は興奮していた。葵は快楽にさえも純情で乱れることに戸惑うこともなければ快楽に従うように淫らに私を求めてくる。その姿は思い出しただけでも興奮するけど、そんな葵を見つめながら私も服を脱いだ。


「電気消すよ」


私が電気を消しても葵は私を変わらず見つめている。裸になった愛しい葵の綺麗で美しい体に手を這わせた。葵は体のどこでも柔らかくて綺麗でそして敏感だ。ただ触るだけなのに気持ち良さそうな吐息を漏らす葵にますます興奮する。


「我慢させてごめんね?」


私は胸を舐めながら葵に謝った。私よりもはるかに性欲の強い葵は以前できなかった分我慢をさせたと思う。


「んっ、……大丈夫……だよ」


「ふふ、ごめんね。今日はいっぱい触ってあげるね」


軽く私の頭を抱き締めるようにしてきた葵に小さく笑いながら言うと葵は私の片手を取って自分の股に押し当てた。もう随分濡れている。もう我慢のできない葵は急かすように私を見た。


「…由季…もう待てないから…早くして?」


「分かってる」


こないだ葵は頑張っていたし今日はリクエストまでもらった。満足するまでするつもりだけど、いつもよりも積極的で可愛らしい葵に私の方が止められないかもしれない。私はそう思いながら優しくキスをして葵の中に指を入れた。







翌日、葵が私の顔を触るので目が覚めた。昨日はやってからそのまま寝てしまったのでお互いに裸だ。視界には葵の可愛らしい顔と悩ましいくらい綺麗な体が目に入って少しドキッとする。葵はそれでも可愛らしく笑った。


「おはよう葵」


「おはよう由季。寝顔可愛かったよ?」


「……どこが」


私は目を擦りながら言った。寝顔なんか見てるより先に風呂にでも入れば良かったのに。葵はずっと見ていたんだろうか。


「なんかね、ちょっと笑ってるみたいに見えて可愛かった」


「葵の方が可愛いよ」


「…そんなことないよ」


隣にいる葵は嬉しそうに言うから私は髪を優しく撫でながら耳にかけてやる。そして頬を触りながら可愛らしい葵を見つめた。


「そんなことあります。昨日も可愛かったよ?葵はいつも可愛いけどエッチの時も可愛いくて、葵がエッチだからなんか凄い興奮しちゃったよ私」


「…面と向かって言われると恥ずかしいよ」


「んー?だって言いたいんだもん。だめ?」


「……良いけど……照れる」


エッチの時とは打って変わって照れやすくて恥ずかしがる葵が愛しくてキスをする。この初さはずっと変わらないんだろう。


「エッチの方が恥ずかしいでしょ?」


「……そう言う話じゃないもん」


「えー?あんなに腰振ってたくせに?」


「だっ、だってそれは!……由季が動いてって言うから……!」


昨日のことを思い出しながら葵に問いかけると本当に照れて抗議するように私の手を握ってきた。昨日は葵にも動いてもらったけど本当にエロかった。エッチの時は恥ずかしがらずに何でもやる葵は自分を分かっていないけどそれがまた私の心をくすぐる。

私は恥ずかしがる葵に追い討ちをかけるように聞いた。

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