碁盤の目の街 あやかしの街2
@bikki_bouco
北の猫又街 いち
ナオは勢いよく慣れない酒を飲んだせいで少し気分が悪い。余裕がある様子でグラスの中身をちびちび呑んでいるカッパにも少しムッとしていた
「それで、お嬢さんは...」と話しかけてきたのを「私は!」と大きく遮る
「私には山下ナオって名前があります、ここから北の方の小さな町出身で大学に通うために札幌に来てるんですけど」
、で貴方のお名前は?とかじりつけたのは恐らく酒の勢いのせいだろう
カッパはそれこそ鳩が豆鉄砲を食らったような顔を一瞬したあと大きく破顔して笑いながら頭を下げた、頭のさらがふるふると震えている
「水上川ノ上我聞左衛門《みずかみかわのかみがもんざえもん》」
「みず...がもん?」
「我聞《がもん》 でもカッパでもいいよ」
「じゃあ...我聞で。」
「じゃあおれはナオって呼ぶね、いいね、猫の鳴く声みたいで、なお、なーお」
どうやらこのカッパこと「我聞」はとことんふざけた性格のようだ、ナオは深くため息をつく
「あんまりちゃんと人に名乗ったことなくてこれでも照れくさいんだよ」
しなり、と体を傾けるカッパもとい我聞をちらっと睨むと
「私は家族以外のおとこのひとって慣れてないんですカッパも含めて」
すると、おお!と我聞はひとつぽん、と手を打った
「じゃあなれないもの同士で面白いところに行かない?なーおにピッタリの所があるよ?」
「なーおって、変な呼び方決めないでくださいよ!...それで、どこに行くんですか」
「じゃあナオ、猫は好きかい?おれは魚と間違えられて齧られる時もあるけどあいつらはだいたい好きだよ」
「猫ですか?好きですけれど、なんなら実家に1匹いましたし」
というと
随分その返答が気に入ったらしくうんうん、と頷きまくる我聞。
じゃあさ、と今度は膝をひとつ叩く
どうも見た目は今風なのに動作はおじさん臭いなあ、とナオが思っていると
「二条市場で猫又に会おうか」
またもとんでもないことを言われるのであった
月は登っていく、夜はふけていく
ナオは雪駄を履いた我聞に連れられて東の方へ歩き出した。
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