第233話0233★対価として、幻獣【カーバンクル】の雛までもらっちゃいました



 そして、馬車の準備を済ませたカランは、ススススゥ~っとアデルに近寄り、なにごとかを小声で相談している。

 神護は、待たせているリオウと白夜が気になり、そちらへと視線を向けて頷く。

 リオウの影に縋りついてこちらを伺う白夜は、神護の頷きにホッとした表情をする。


 「神護のだんな、6頭立ての馬車3台に、食料品に香辛料を乗せました

  あと、衣料品も入れてあります


  それと、アタシのインベントリから出した中身だけでは

  到底、巨大虹色オオトカゲの頭部の対価になりませんので………」


 とアデルが言うと、特殊な術を施した銀色の鳥籠に入った、動物をカランが運んで来た。


 「こちらは、今回の旅先で偶然にも手に入った

  幻獣【カーバンクル】の雛です


  虹色オオトカゲの肉が手に入らなかったら

  薬になる運命だった子です


  可愛がってやってくれませんかね」


 そう言って、アデルはカランから銀色の鳥籠を受け取り、神護へと差し出す。


 おいおい、幻獣【カーバンクル】の雛って………って、額の宝石以外に

 ああ、確かに翼もあるからな、鳥の雛にも見えるな……だから、雛ね

 あやうく、薬にされるところだったセイかな、酷く脅えているな


 つっても、アデルも跡取りの姫君を救うのに必死だったんだろから

 一概に、幻獣【カーバンクル】の雛を薬にっていうの否定できねぇーな

 罪悪感もあって、俺に差し出したんだろうし………


 ここは素直に受け取ってやるのがイイよな

 慣れるようだったら、鳥籠から出して連れ歩くのもイイしな


 まだ、ホタルの卵12個は、どれも孵りそうにないし

 幻獣【カーバンクル】の雛かぁ~………結構、可愛いな


 くすくす………白夜のちょうどイイ、ペットになるだろう

 翼があるから、親近感も沸くだろうしな


 動物好きな神護は、ためらうコトなく幻獣【カーバンクル】の入った、銀色の鳥籠を受け取っとりながら、アデルに聞く。


 「それで、アデルはここから何処へ向かうんだ?」


 神護の質問に、アデルはあっさりと答えた。


 「はい、まずは、直下の弟が店を構えている

  ここから1番近い、彩湖さいこ王国の東の端にある

  美里みさと街に行く予定なんですよ


  あとは、幾つかの王国と砂漠を経由して

  故郷の野浦のうら王国に行く予定してます


  なんせ、姫君の回復にどうしても欲しかった

  虹色オオトカゲが手に入ったんですから


  それも伝説級の巨大虹色オオトカゲの新鮮な肉と

  頭がまるごと手に入ったんで………大急ぎで帰郷しますよ


  まあ、途中1番下の妹が嫁いだ山翠さんすい王国にもよって

  あそこでしか手に入らない薬草やキノコを買ってね


  今日、神護のだんなから譲っていただいた

  この、伝説級の虹色オオトカゲの肉を出来るだけ早く


  跡取りの姫さんに届けて、元気になってもらわないと………」


 喋るアデルに、幻獣【カーバンクル】の雛の入った銀色の鳥籠を手渡した後、下男達?に指示を出して、肉に塩を塗って馬車に積み込みを指示していたカランが、いつ間にか戻って来ていた。

 そして、神護がこの辺は自分達が食べる分だから少し残してと言った虹色オオトカゲの肉だけを残して、全部を馬車に積み終わったとアデルに報告するカランだった。








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