第230話0230★インベントリは、色々なカタチであるらしい


 神護のセリフに、アルデはマジマジと神護を見詰めて頷く。


 〔確かに、ダンナは見た限りでは獣相が無いですねぇ

  そうですか、飛翔族の押し掛け女房ですかぁ

  あげくに、奥方とは死別しているんですか


  それじゃぁ~…確かに、飛翔族のことなんて知らないでしょうねぇ

  まして、見たことも無い巨大な虫に襲われて…………

  【竜ケ峰りゅうがみね】の樹海の中で生活していたのではねぇ


  少し前に、その飛翔族の国が襲われて、大半の飛翔族は消息不明で

  飛翔族というだけで、色々な賞金目的のさもしい者達に

  狙われる存在になっているなんて、知らないのでしょうねぇ


  ここは、きっちりと注意してさしあげましょう

  これからのお付き合いもありますからね


  そんなはした金の賞金よりも、伝説級の虹色オオトカゲを

  あっさりと殺せるダンナとのお付き合いの方が大事ですからね〕


 「解りました………アタシの知っている飛翔族についての話しを………

  ん?…やっと馬車隊が全部到着したようですね」


 街道から道なき道を走って来た馬車隊が、神護達………というか、虹色オオトカゲの肉の少し手前で、順々に停止して行く。

 勿論、ブチハイエナ獣人に、リカオン獣人も御者台に座っていた。

 その周りを護るように、オオカミ獣人が居るので、やはりキャラバン隊の護衛らしかった。


 神護も、そこに停止した馬車隊にちょっとびっくりする。


 思っていたよりも、規模の大きなキャラバン隊だったようだな

 これなら、馬と馬車を融通してもらえそうだな


 「ああ、そうだな…んじゃぁ~…そうだなぁ~さっきも言ったけど

  馬と馬車、それと香辛料や食料品、あと生活必需品を頼むわ

  あと、この辺で流通している金も欲しいな


  対価は、巨大虹色オオトカゲの肉で良いんだよな

  ああその辺にある肉のほとんど積み込んで良いぞ」


 そう言う神護に、アデルがキョロキョロと周囲を見回して言う。


 「ダンナ、頭が無いんですけど、もしかしてインベントリ持ちですかい

  出来れば、頭も譲って欲しいんですが、譲ってはくれませんかね?


  ほほ肉は極上の肉だって聞いてますし、脳は薬にもなるんですよ

  いや、頭部は余すところナシっていうぐらい薬ンなるんで………


  魔術師や薬師が喜ぶんで………

  是非、姫君の治療に欲しいんですが、ダメでしょうかねぇ?


  ちなみに、アタシもインベントリ持ちなんで………半分でも…いや

  4分の1でも良いですから、分けてもらえませんかね」


 アデルの言葉に、神護は少し考える。


 俺には、巨大虹色オオトカゲの頭なんて価値ないモンだけど

 アデルにはあるんだな………そっか、薬にもなるのか………


 じゃなくって、アデルもインベントリ持ちなのか…なら腐らせずに

 持ち運べるよなぁ………つーか、どのぐらい入るんだ?

 普通のインベントリの許容量ってどのぐらいだ?

  

 「ふぅ~ん、あんたもインベントリ持ちなのか?

  アンタのインベントリってどのぐらい入るんだ?

  あの巨大虹色オオトカゲの頭、かなりデケーぞ」


 それを頭を買い取る了承と受け取ったアデルは、腹帯に大切にしまっておいたインベントリを取り出す。


 「アタシのインベントリはコレなんですよ

  馬車の荷台ふたつ分は入るでしょうかねぇ………」


 と、言いながら出したソレは、一見お札をそのまま入れられるお財布風のインベントリだった。

 その口をカパッと開いて、アデルはポイポイと中身を傍らに出し始める。








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