第194話0194★白夜が甘い物を欲しがる理由?

 一瞬で、今のところ完全に安心な場所へと移動した神護は、白夜に問い掛ける。


 「負担は感じないって言ってたが、どうだ?」


 「はい 全然負担らしいモノは感じませんでした それよりぃ~

  父上が採取した李紅りく果実が食べたいですぅ~………」


 甘酸っぱい李紅りくの果実を望む白夜を見て、神護はちょっとくすっと笑ってから、巾着袋に入れた果実を取り出す。


 「なんなら風糖ふうとうもひと房出すか?」


 神護の問い掛けに、白夜はにぱぁ~と嬉しそうに笑う。


 「いいんですかぁ~ 白夜は風糖ふうとうも食べたいですぅ~」


 上機嫌でそう言う白夜に、神護は笑って頷き、風糖ふうとうもひと房巾着袋から取り出す。

 

 「ほら、風糖ふうとうな」


 そう言って手渡して来る神護に、白夜は小首を傾げる。


 「父上は食べないのですか?」


 白夜の質問に、神護は首を振る。


 「ああ、そこまで必要を感じないからな、そうだなぁ

  今手渡した房から、2粒か3粒を分けてくれるだけでいい」


 白夜を背中に乗せたままのリオウは、ちょっと考えるように首を傾げてから、ゆっくりと伏せる。


 「ぅん…リオウもご苦労様…ああ…そうだ白夜、リオウの口にも

  ご褒美で入れてやれ、俺はこれからやるコトがあるからな」


 そう言って、白夜から風糖ふうとうの粒を3粒もらい、ポイッと口に入れた神護は、座り込んで腕輪から飛竜の卵を取り出し、丁寧に愛で始める。


 とりあえず…今日もホタルの12個の卵達に、愛情と《魔力》を

 付与してやらねぇーとな………せっかく順調なんだから………


 しっかし、白夜のやつ、よくあれだけ甘い果実を食べるなぁ~

 もしかして、無理な転生とかしたから………


 純粋な栄養ということで、糖分が欲しいのかな?

 果糖は負担無く、身体に吸収されるんだったよな


 それに、疲労した時に欲しがるのは糖分だもんな


 肉体の成長に必要なのかな?……って…ああそうだったな

 身体の中で1番糖分が必要なのって、脳だったけ…


 白夜は、身体が幼くなってしまった分、一生懸命に、今の自分が

 出来るコトを色々と考える分、それで消費されるセイかな?

 まっ…白夜が欲しがるだけ食べさせてやろう


 そんなことを考えながら、神護は次々とホタルの卵達を愛でるのだった。



 一方の白夜は、手渡された李紅りく風糖ふうとうの房を抱え、口に運びながら、飛竜の卵を丁寧に愛でる神護の行動を黙って見ていた。


 〔ほんと 父上って甘いよなぁ~ まぁ その1番の恩恵は

  確実に私が受けているのだが


  それにしても あの父上の腕輪の中には 幾つの飛竜の卵が

  入っているのかなぁ? 何時 孵るんだろう 楽しみですねぇ~〕


 などと、のん気に考える白夜は、とにかく幸せだった。







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