第185話0185★《魔力波》を隠す方法は無いようです



 神護の落ち込みを知らない白夜は、現状把握の為に、言葉にして言ってみる。


 「父上 たぶんですが 唐突に 敵があそこに現われたのは

  私達の行動を監視していたからではないでしょうか


  《遠視》か《千里眼》のような術で こちらの動向を

  ていたのでは無いかと思います


  自分達が侵入できない いにしえの女神の神殿まで

  私達が 確実に戻れない距離になったので


  反対側にある街から ワイバーンで移動して来たのでしょう

  ワイバーンを使うには 広い場所が必要ですしね


  だから夜盗の出現は 本当に偶然だと思います」


 白夜の見解を聞いた神護は、ちょっと考えてから聞く。


 「なぁ~…白夜…その《魔力波》ってやつさ

  そんなに簡単に察知されるモノなのかぁ?

  なんか、隠蔽する方法は無いのか?」


 神護の質問に、白夜は小首をコテンと愛らしく傾げて、考える。


 〔う~ん《魔力波》を 隠蔽する方法ですか

  そういうコトを 考えたことなどありませんでしたね

  ふむ 何かで相殺するか……遮断するとか……


  まぁ…敵に《魔力波》を辿られない為には

  魔術を使わないのが1番ですが………


  そうも言ってられませんからねぇ………

  でも 今のところ思い付くモノはありません〕


 「すみません 父上 そういう方向で考えたことが無くて

  過去の知識を探っても 《魔力波》を辿られないような

  隠す方法は 今のところ出て来ませんでした」


 白夜の答えを聞いて、神護は別のことを考える。


 ふむ…《魔力波》を消すのが難しいんなら……逆に、1日の内に

 あっちこっちに移動して《魔力波》の痕跡を混ぜるのもありかな?


 何度も飛び回れば、新旧の《魔力波》の軌跡が複雑に交錯して


 それ《遠視》や《千里眼》に頼って探すと

 逆に特定しずらくなるんじゃないかな?


 幸い、移動で消費する《魔力》って少ないし


 この《転移》って、魔法は初めて使ったけど

 どうも、行ったことのある場所限定っぽいな

 認識の問題なのかな?


 あん時は、安全な場所をイメージしたら

 移動先が、この古の女神の神殿の祭壇前になったようだから………


 あっ…そうだ…この《転移》を使ってイワウオが獲れた場所とか

 風糖ふうとうが採れた場所とか


 この【竜ケ峰りゅうがみね】の樹海もどきに《転移》の痕跡を

 あちこちに、撒き散らすか………と、白夜はどうしたかな?


 神護が考えこんでいる間に、白夜は銀水晶の鏡に視線を向け、ジィーと見詰めていた。


 「どうした? 白夜? あの水晶? 鏡か? 何かあるのか?」


 神護に問い掛けられるほど、無意識に銀水晶の鏡を見詰めていたらしい。

 白夜は、なんと答えようか逡巡してから、素直にソコに映ったモノの話しをした。






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