第184話0184★古《いにしえ》の女神の神殿へ《転移》した意味



 パチッと双眸を開き、眠気を振り払った白夜は、神護に向かってにっこりと笑う。


 「父上ぇ~ ここって何処ですか?

  なんか すごぉ~く見たことある場所なんですが?」


 白夜の問いに、神護は苦笑いしながら答えた。


 「白夜が誕生した、いにしえの女神の神殿の祭壇前……」


 その答えに、頷くが………。


 「そうなんですか でも どうして此処に戻って来たんですか?

  何か重要な忘れ物でも?」


 白夜の問いに、神護は首を振って、これまでの経緯を話す。


 「そうですか 黒き河の小隊と魔術師が 唐突 現われたんてすか」


 その内容を真剣に聞いていた白夜は、聞き終えた瞬間、小さく舌打ちする。


 「父上 私が誕生する直前 いにしえの女神の神殿前で

  黒き河の兵士達 黒鼠族こくそぞくと交戦したんですよね」


 「ああ」


 「その時に 大きな魔術とかを使いませんでしたか?」


 白夜の質問に、神護は隠す必要性を感じないのであっさりと答える。


 「ああ、そう言えば使ったな…あの時は、とにかく急いでいたからな

  なんせ、あの時は卵を入れた巾着袋が急速に、暖かい通り越して

  熱くなり始めていたんでな」


 それを聞いて、白夜は大きく頷く。


 「父上 それです たぶん 魔術師達は父上が放った魔術の

  《魔力波》を感知したんです


  と いうことは 女神の神殿内はれませんから

  ここ神殿内から 出て来るのを待っていたんでしょう


  そして このいにしえの女神の神殿から 遠く離れるのを

  あいつ等は待っていたというところでしょう」


 神護は、白夜の洞察を聞きながら、大きな溜め息を付いたのだった。


 だぁぁぁぁ……マジで、振り出しかよ……はぁ~……

 そうすると、やつら黒き河の小隊はずっと俺達を

 遠距離から監視していたってコトかな?………と


 そして、神護はここに《転移》された理由や、あのタイミングで襲われたコトな納得してから、ハッとする。

 そう、まだリオウに騎乗したままだったのだ。


 そのコトに気付いた神護は、白夜を腕に抱いたまま降りる。

 背中から神護が降りたので、リオウはその場で静かに伏せた。

 リオウなりに、初めて魔術師に遭遇し、かなり緊張していたのだろう。


 そんなリオウの頭を優しく撫でてから、神護は改めて、祭壇前周辺をゆっくりと周囲を見回した。

 そこ祭壇中央には、白い大きな殻が放置してあった。


 あっ…あははは…すっかり忘れていた…白夜の孵化した後の殻

 コレを回収する為にココに飛ばされたとか………まっいっか……

 此処を出る前に回収すれば………じゃなくて、今入れよう


 そう思った神護は、腕輪を軽く白夜の入っていた殻にかざす。

 と、綺麗に一瞬で全ての殻を回収していた。


 ふむ………腕から腕輪をわざわざ抜かなくても、腕を動かして

 少しかざすようにして、対象物を意識すれば回収できるんだ

 ………じゃない、神殿入り口前で《壊焔かいえん》を放ったセイかよ






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