第169話0169★閑話 神護の消息確認をしよう



 少し時が戻って、神護がホタルの先導でいにしえの女神の神殿に向かって走っている頃。


 帰宅した竜治は、落ち着く為にソファーに座って、スマホを手にしていた。


 「さて、本当に神護は渡ってしまったのかな?

  確かめないとね」


 「本当は ボクの感じたモノが 外れていることが

  神護さんや竜治さんにとっての ベストなんだろうけど………」


 肩に座って、重い溜め息を吐くギンを無視して、竜治はスマホの短縮を押す。

 それは、神護に直接繋がる短縮ナンバーだった。


 結果は、誰も出ないだった。


 「おかしいね、神護が僕からの電話に出ないなんて………

  しょうがない、ここは………唯香ちゃんと優香ちゃんは……

  うん、やっぱりマズイから………真三郎君かな?」


 そう呟いて、ナンバー交換している真三郎へと電話をかける。


 『はい、真三郎です』


 「真三郎くん?……僕のこと判る?」


 まず手始めに、僕の存在は………。


 『はい 父さん親友の息子の竜治さんですよね』


 うん…認識はされているけど、その答えはおかしいね

 この場合は、神護の婚約者その1でしょう、真三郎くん


 これは………残念だけど、ギンのカン当たったようだね

 神護が、異世界に渡ったってコトだね


 さて、ではメインの質問を言ってみようか?

 

 「悪いんだけど、神護が電話に出ないから

  電話に出るように、言ってくれないかな?」


 『えぇ~とぉ………神護って誰ですか?』


 その言葉で、電話向こうの真三郎が、神護の存在を記憶から消去されているコトを知る。


 ああ……やっぱりね、神護のコト、記憶から抹消されているんだ

 真三郎くんは、神護にそこまで執着していなかったからかな?


 それとも、僕に神護の記憶があるのは、妖狐族のギンと《契約》したからかな?


 とにかく、それじゃ………唯香ちゃんと優香ちゃんは?

 神護の記憶はあるかな?………確かめてみないとね


 「真三郎くん、今、僕の言った言葉を、唯香ちゃんと優香ちゃんに

  言ってもらえるかな?確かめたいコトがあるんだ」


 さて、僕の言葉に付き合ってくれるかな?

 どうやら、神護は存在しないコトになっているようだが………


 『わかりました、2人に言ってみます』


 そして、電話向こうで、真三郎くんが大きな声で双子の妹達に、僕が言った言葉を口にしていた。


 結果は、2人とも神護のコトを兄として覚えていた。

 ただし、唯香ちゃんは神護が行方不明と………。

 優香ちゃんは、海外留学していると認識していた。


 執着があると、覚えていられるらしいコトが、これで判った。


 そして、僕は意地悪だから、今日のネズミーランドの話しを振って、神護が異世界に行ったらしいコトを告げるのだった。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る