第156話0156★竹もどきで、ついでにちょっとしたカトラリー?



 流石に、白夜に【ルシフェル】の樹液を塗ったなんて言ったら…

 きっと…飛び上がるぐらい、びっくりされるよなぁ……


 なんと言っても【ルシフェル】の種族は、世間一般的には

 過去に大規模な駆除がされて、殲滅されつくして

 絶滅していることに、なっているんだから…………


 そんな神護の心情を知らない白夜は、何かを塗られた瞬間に、じくじくとした痛みがスゥーと消えたことにびっくりしていた。


 〔えっとぉー 父上 なにを塗ったんですか?

  でも そう聞いても良い 雰囲気じゃありませんね……


  もしかして 塗ったモノ 私に知られたくない?

  それか かなり説明しずらいモノなんでしょうか?


  いや 痛みが消えてくれたんで 助かりますが…………


  とりあえず 聞かない方がよさそうですね

  また 痛くなった時に 塗って欲しいですし……〕


 痛みが引いた白夜は、恐る恐る小さな翼をはためかすように動かして、疼くようなじくじくした痛みを感じないことに感動する。


 「すごいです 父上 翼を動かしても ぜんぜん痛くありません

  これなら つらくありません」


 素直な感想を口にする白夜に、神護はほっとして頷いて、マントを付け直す。


 「そうか、良かった……っと……そうそう…忘れるところだった

  なにかスプーンみたいなモノないかなぁ?


  コップの蜂蜜を食べるのに適した………

  ちょっとここで待ってくれるか?」


 「はい 父上」


 翼の根元のじくじくした痛みが消えた白夜は、背後から目の前に戻って来た神護にニコニコしながら頷いた。


 神護は、白夜の顔色を確認し、翼の根元の痛みが、樹液の保護によって、軽減されていることを見て取り、ほっとする。


 「じゃ…ちょっと離れるぞ」


 そう言った神護は、周辺をグルッと見回して頷く。

 その視線の先には、竹によく似たモノが生えていた。


 スプーンもどきを作るなら……ふむ、コレ竹もどきが良いかな?


 そう意識した時には、竹もどきを手刀しゅとうであっさりと切っていた。

 もちろん、手頃の長さに切った竹もどきを縦割りし、先を綺麗に削って、即席のスプーンを作る。


 もちろん、予備も考えて、5本のスプーンもどきを作った。

 4本はなんとなく縁起が悪いし……ということで、5本だった。


 即席のスプーンを作った神護は、そのまま、残った竹もどきでお箸も作った。

 流石に、手づかみでモノを食べるのがイヤだったからだ。


 もちろん、魚などを焼くのにも、樹の枝よりも使い易い竹もどきで………ということで、串も20本ほど作っていた。

 この直ぐ後に、活躍したのはこの竹もどきの串だったりする。


 そんな後のことは知らない神護は、竹もどきのスプーンを手に白夜の元に直ぐに戻った。

 もちろん、作ったお箸や串は直ぐに布袋の中にしまっていた。




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