第127話0127★古の女神の神殿8 成長要素が足りなかった可能性



 切なそうに言う白夜に、神護は改めて背中の痣の位置と色を見て、首を傾げる。


 たしかに、この赤い痣って、ソレらしく見えるよなぁ…………


 いや、まてよ……あっち神護が住んでいた世界

 こっち白夜が属する世界で、なんらかの要因…………


 そこで、神護はハッとする。


 もしかして、ラノベなんかに書かれている魔素とか…

 …いや…真素や……聖素とかも……あるかも………


 俺が生まれ育った世界には存在し無い……

 エネルギー…みたいなモノが…影響しているってのは?


 「なぁ~……白夜……こっちってさぁ……そのぉ……

  魔素みたいなモンとかあるか?」


 神護からの問いに、白夜は素直にコクッと頷く


 「有ります 魔術や魔法を発動させる為に 必要なモノです

  あのぉ~ ……それが、なにか?」


 「ああ…あるんだな………だったら………

  それも、原因としてあるかもな………」


 「えっ? なんでですか?」


 「俺は卵と一緒に、こちらで必要な金品と一緒に

  武器防具に、アクセサリーという物品を手渡された


  同時に、こちらの知識や《魔力》も一緒に譲渡された

  その後、俺はあっちとこっちを夢現で移動していたんだ


  そのセイで……つまるところ…その魔素とか言うモノが

  成長に必要な分を、得られなかった可能性がある


  でも、お前は孵化して、あっという間に成長したから

  足りずに、そうなったのかもな


  もしかしたら、それ翼がないはとても重要な意味が

  あるかもしれないな………


  それに、必要な要素が揃ってしまえば

  白夜が成長したら、翼なんかも生えてくるかもな………


  ソレが、痣というカタチで現われている可能性はあるぞ」


 希望観測だが、神護は、そう言って双眸を閉じ、もっと良い言い訳でもないかと考え込んだ。


 混乱と失望にさいなまれながらも、白夜は神護の言葉を聞いて、素直に頷く。


 〔言われてみれば たしかに 後から羽化する可能性も

  まるっきり 無いわけではないな


  過去に ごく少数だが 数例 そういうのがあった……

  今は 私の放った灰燼かいじんですべて無に帰した為


  改めて調べることは もはや不可能だが………


  ならばここは 父上が言うように あちらの世界と

  こちらの世界を 行ったり来たりしたセイで…………


  私の翼を形成するのに必要な分の こちらの世界

  特有の魔素などが 足りなかったと考えよう………〕


 自分を納得させ、白夜は健気に神護の言葉に応える。


 「きっと 父上が言うように 魔素とかが足りなかった

  可能性もありますね」




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