第123話0123★古の女神の神殿4 預かった卵がとうとう孵化



 ホタルの言葉で、はっとした神護は、自分自身に張った《結界》もそのまま維持して、慌てていにしえの女神の神殿の入り口へと走りこんだ。


 が、ホタルの言う神殿に張られた《結界》に抵触することは無かった。


 スルッと、なんの障害も無くいにしえの女神の神殿内に入れた神護は、そのまま周囲を見回しながら、とにかく奥に向かって走り続けた。


 どっか…休憩できて……安心して…………

 卵の確認できる…場所ってないかなぁ…………


 そんなコトを考えながら、とにかく神護は走る。


 途中に、扉らしいモノは左右に幾つも存在した。

 が、神護が焦るこころを抑え付けて、左右にある扉をいくつかづつ確認したが、そのどれもが開くコトは無かった。


 ゆえに、神護はエジプトピラミッドにあったような、偽扉ぎひであると判断し、見た目てきに本物に見える扉らしきモノを探しつつ、奥へと向かって走り続けた。


 神護が走り続ける中、胸と腹の中間辺りに入れた巾着袋が、まるでホッカイロでも入れたかのように、かなり暖かくなっていた。

 そのコトに気付いた神護は、更に焦りを覚える。


 まっすぐな回廊を、あてもなく走りながら、神護は適当な部屋らしきモノを見つけられないまま、かなり奥まで進んだ。


 そして、大きく開かれた空間へと出る。


 神殿の最奥、たぶんいにしえと呼ばれる、女神をまつる為の祭壇がある場所まで来た神護は、辺りを見回す。


 ここなら、出しても大丈夫かな?

 ぅん? 祭壇の中央にあるのは………


 神護は、祭壇の中央に置かれた丸い輪を見つけて喜ぶ。


 おっ………丁度イイもんが…あるじゃん…

 コレなら、大きくなった卵の台座になりそうだな


 時間的に逼迫ひっぱくしている神護は、ためらう余裕もなく、首からさげている巾着袋を引っ張り出した。


 そして、その場に座り込んで、神護は巾着袋の口を開いた。

 つるりんっという音がしそうな勢いで、巨大な卵が出現した。

 その卵は真珠色に発光し、確かに脈動していた。


 神護は、その出現した巨大卵を、祭壇の中央にある輪の上にソッと乗せた。

 何度も発光を繰り返しながら、卵はモゾモゾとかすかに動いた、次の瞬間。


 卵の中央に、ピシッという音とともに、一直線に綺麗に亀裂が走る。


 固唾を飲む神護の前で、あっという間に卵は割れて、その中から可愛い子供が誕生した。


 ぷにぷにまるまるの子供は、誕生した瞬間は確かにた赤子だった。

 が、その瞳を開く頃には、3歳くらいになっていた。


 ちなみに、髪の色は神護と同じ黒髪であった。


 う~ん……受け取った時の男の人の髪色って………

 ダメだ…やっぱ…眩暈めまいする……長かったけど………


 色までは覚えてないけど……でも…黒じゃなかった

 と思うから……この色って擬態かな?


 そんなことを考えている間に、誕生した子は瞬く間に3歳くらいになり、その双眸を開いた。

 そして、神護を見あげて、にっこりと笑ったのだった。



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