第116話0116★気付かなかった孵化の前兆1



 神護は、普段かまってやれない弟妹へのサービスとして、某ネズミーランドで盛大にイベントを楽しんで?帰宅した。


 しっかりと疲労困憊になった神護は、興奮冷めやらない弟妹に…………。


 『今日は大盤振る舞いだ

  寿司屋にでも行くか?』


 と言って、普段は絶対にしない、外食をして帰宅していたのだった。

 勿論、今日のメンバー全員が賛成し、みんなでわいわいしながら行ったのは確かな事実だった。


 そして、神護達一行が行った先の寿司屋は、大量買付けによる低価格を維持するフランチャイズ系ではなかったが、回転寿司をやっていた。


 本来は、ちょっとガンコ系本格寿司屋だけど、少し違ったコトをと、イベント感覚で回転寿司用の回転レーンを借りて設置していたのだ。


 お陰で、本格的なお寿司を、なんちゃって回転寿司状態で楽しめたのだ。

 その上で、団体さん状態だった為に、美味しい海老のお味噌汁も飲めたのだった。


 珍しくかなりの散財をしたが、弟妹が喜んでいたので、神護は満足だった。

 ちなみに、一緒にネズミーランドに行き、イベントを楽しんで、お寿司屋で打ち上げ?をしたメンバーは、駅で解散していた。


 そうして、やっと家に帰って来た神護は、今日の疲労感を癒す為に、その足で風呂に向かったのだった。


 湯槽を軽く洗い流して、お湯を入れながら、神護は今日の汚れを洗い落とす為に、躯を洗い、髪も丁寧に洗った。


 神護が髪と躯を洗い終わる頃には、湯槽にも丁度良い量の湯が溜まっていた。


 ぅん……ちょうどイイな……はぁ~……


 湯槽へと入り、肩までお湯に浸かった神護は、ここしばらくの出来事を思い出していた。


 ここ最近の最初の異変は…………

 やっぱり、修学旅行の伊勢神宮参りの時だったよなぁ


 あの時から竜治達は、俺の身に起こった異変に

 気付いてたみたいだし…………


 何時からか、記憶がかなぁ~り曖昧だけど………

 富士の樹海のような場所を何回も訪れて………


 背に翼がある男に、卵と色々な装備手渡されて………

 知識&《魔力》酔いで記憶の大半が吹っ飛んでて………


 でも、そんなこと関係なく、手渡された卵は………

 スクスクと卵の状態のまま育って…………

 

 そんな中〈ドラゴン・ソウル〉のホタルと出会って

 自分が何か? 手渡された卵が、何かを教えられて…………


 同時に、妙なモノに、たびたび襲われ始めて…………

 今日は、マジでリアルに怖かった


 弟妹3人に、元込みで3人の婚約者達に

 友人知人まで……マジな、危険に晒した…………


 俺が、飛翔族の卵の【守護者】に選ばれた為に………

 でも、後悔はしない…………


 つーか……どうしようもないのも事実…………

 でも、流石に、俺だって、もう卵に愛着がある…………


 そう内心で呟き、神護は誰にも見えない、首からさげた巾着袋を手に取る。

 それは、湯に浸かっているにもかかわらず、濡れていなかった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る