第106話0106★ネズミーランドは危険がいっぱい?16 イベント開始7

 神護が魔術を詠唱して敵キャラをあっという間に殲滅する間、竜治をはじめとした残りのメンバーは、ホタルに見入っていた。


 ちなみに、神護のカメラアイを全員が知っている為、簡単詠唱して魔術を発動させたことには、誰も疑問を持っていなかったのも確かな事実だった。


 一方、本当の敵と遭遇し、神経逆撫ででフーフー状態の神護は、戦闘終了と同時に《索敵》の《呪陣》を展開し、ぐわっと広範囲に拡げていた。

 神護は、とりあえず自分を中心にして、周囲10キロを探索した。


 ネズミーランドの敷地を考えれば、せいぜいがどんなに広げても500メートルでもすむだろうが…………。

 ホタルが言った、異世界と空間が重なっていることを考慮して、それだけの規模で調べることにしたのだ。


 双眸を閉じた神護の脳裏には、魚群探知機か、古いアニメに出てくるような丸い画像が現れていた。

 そこには、転々とした光点や影が点在していた。


 ふむ……この…俺の周囲の光点は…みんな…だな

 今のところ…敵らしきモンはいねぇ~な………


 自分の周辺に人数分の光点以外、それらしいモノが引っ掛からないことにホッとした神護は、自分感覚に引っ掛かるモノを感じて首を傾げる。


 ぅん? この大きな影はなんだ?

 他にも、似たような影があるな


 神護が疑問に思っているところに、再び肩へと舞い戻ったホタルが、同調でその《索敵》に浮かぶ妙な影を見て、説明する。


 『マスター ソレは いにしえの女神の神殿

  女神サー・ラー・フローリアンの神殿だと思います


  あとの影は マスターがさっき広げていた

  地図の休憩所として記された場所ではないかと……』


 ホタルの説明に、神護は双眸を開く、脳裏にはいまだに《索敵》の様子がリアルタイムで展開していた。


 「神護、大丈夫かい?」


 心配する竜治の隣りから、美姫が興味津々で、肩に止まった小さい姿のホタルを覗き込む。


 「ちょっと神護ぉ~……その子…可愛いじゃない…

  さっき出現した敵キャラ…その子のこと


  〈ドラゴン・ソウル〉とか言っていたけど……

  何時、手に入れたの?」


 神護はちょっと考える素振りを見せてから、シレッと答える。


 「渡された袋に、腕輪が入っていたから

  嵌めたら、それが〈ドラゴン・ソウル〉だったっんだ

  超希少アイテム入りの当たり袋だったようだな」


 神護の説明を聞いて、全員が自分の背負った袋を下ろして、口を大きく開けて中に何か珍しいモノは入ってないかと、ガサゴソする。




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