第105話0105★ネズミーランドは危険がいっぱい?15 イベント開始6


 周囲に気を配りながら、さっき確認した地図を頭の中に浮かべながら、大まかな方向を目指して歩く。

 その途中で、ぽつりと竜治が感心したように言う。


 「けっこう凝った作りだねぇ……

  本当に、富士の樹海の中を

  歩いているような気がするね……」


 神護も、湿気りのある土の匂いと、清々しい緑の匂いに妙な錯覚に陥る。


 不味いなぁ~…マジで、あの異界の森林の中を

 思い出してしまうな………


 ホタルが…空間歪んでるとか言ってたけど………

 ぁうぅぅ~……なんか……すっごく…イヤな予感……


 「ああ…確かにな……つーと…そろそろ………」


 「来た見たいだね」


 そう神護と竜治が言っている間に、獣人らしい集団がわらわらと現れた。


 出現した敵キャラは、全員が丸い耳にシュルッとした尻尾を持っていた。

 そう、ここはネズミーランドなので、初遭遇の敵キャラはネズミ系獣人だった。


 神護ですら、ネズミーランドの敵キャラを見て感心してしまう。


 この仮想空間でも……敵キャラは…獣人なんだぁ~…


 そんな和やかな神護に、その肩に止まり、ことの成り行きを楽しそうに見守っていたホタルが、驚愕の叫びを上げた。


 『マスター敵ですっ こいつら黒き河の国の兵士ですっ

  まさか 歪みが こちらと繋がった………』


 そのホタルの叫びに、神護以外の10人全員が振り返る。

 そう、敵も味方も………ホタルが、見えているらしい。


 その瞬間、敵キャラのネズミ系獣人が、いやらしく嗤う。

 まさしく、エサを前にしたドブネズミのように…………。


 「〈ドラゴン・ソウル〉だっ……思わぬ獲物だな」


 喜悦を浮かべるネズミ系獣人達に、全員がげんなりする。


 「奪えっ……莫大な褒賞がもらえるぞっ…」


 その叫びに、神護は、思わず天を仰ぐ。


 マジかよ……ったく……勘弁してくれよ


 そのセリフと同時に、敵キャラは神護に向かって襲い掛かる。

 そう〈ドラゴン・ソウル〉のホタルを奪う為に…………。


 神護は、舌打ちして、すぐさま応戦する。

 そう、元々から保有している知識(ビャクヤとホタルから得ていた)で、すぐさま魔術を展開する。


 神護が唱えた瞬間に、弟妹3人と味方全てを守護結界に包み込み、アイスランスをイメージして次々と放つ。


 一応は、森林地帯なので、火炎系のモノは避けたのだ。

 そう、神護は無用な殺生が嫌いだったから…………。


 ホタルも、怒りのドラゴンブレスをゴォーっと吐く。

 戦闘は、ほとんど一瞬で終わった。






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