第88話0088★現世での神護の日常6 自室にて最近のコトを考察4



 「うぅ~ん…こうやって………

  12個の卵を全部並べると


  すっごい壮観だなぁ~……

  はぁ~…惜しむらくは……


  この光景を、俺以外には

  見れないってことかな?」


 そう呟いた神護は、ホタルの卵を1個ずつ触って、生きていることを確認する。


 ぅん……良かった……どれも、ちゃんと温かくて……

 ……しっかりとした命の息吹を感じるな………


 もう、ホタルが生きていて

 かえりそうな卵って言った3個と

 残り9個の差が見当たらないなぁ………


 どれが、その3個だったかなんて

 見分けつかねぇ~よ


 神護は、愛しそうに12個の卵を撫でながら、無事に孵化することを祈る。

 それが、飛竜の卵にとって、孵化する条件として、必要不可欠なことと知らないまま、神護は大事そうに撫でてから、ふと気が付いて、腕輪に右手を翳して呼んでみる。


 こっちで、ホタルを呼べるのかなぁ?

 とりあえず、声をかけてみるか?


 「ホタル、ここでお前を《召喚》できるか?」


 神護からの呼びかけに〈ドラゴン・ソウル〉となったホタルが嬉しそうに応じる。


 『はい、マスター』


 そう言って出現したホタルは高次元レベルの霊体なので、伸縮自在なこともあって、小型の猛禽類、ハヤブサほどの大きさで、神護の前に鎮座ちんざする。


 くすっ……小さいホタルって可愛いかも……


 神護は、ホタルに聞いてみる。


 「ところで、ホタル、この12個の卵達

  なんかみたところ、卵の状態まま


  育っているみたいだけど…………

  これで順調なのか?」


 神護の問いに、ホタルは翼を広げてふわりっと舞い、卵達を1つずつ確認して頷く。


 『はい……驚くほど順調に

  すくすくと育っております……


  マスター嬉しい……

  12個全部かえりそうです……』


 「そうか、良かった

  せっかく生まれたんだもんな」


 神護が、手直の卵を愛しそうに撫でる…………と。

 その神護の手のひらから卵に向かって、暖かい愛情と言う名の命を育てる《力》がたっぷりと注がれているのを、ホタルは見た。


 ああ マスターの愛情が 惜しみなく注がれている

 だから この子達は すくすくと育っているのね

 残りの卵も撫でてもらえるように 言わなければ


 『マスター 他の11個も

  撫でて欲しいです


  その手のひらから

  命を育てる《力》が出てます』


 ホタルの言葉に、神護は頷いて、1つ1つ丁寧に撫でていく。


 「ところでホタル

  この卵達の名前は考えてるのか?」


 神護に聞かれたホタルは、翼を口元に持って行って困ったように首を傾げて見せる。

 その大げさなポーズを見て、神護は微苦笑を浮かべる。


 ホタル、可愛いけど……考えてなかったのか………

 つーか、かえるかどうかすら

 わからない卵なのに………


 名前を考えてもしょうがない

 って思っていたんだろうな


 そんな雰囲気の中、バタバタと足音を立てて階段を駆け上がって来た真三郎が、神護の部屋のドアをバンッと開けて入って来た。 







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