第76話0076★アンデット飛竜は語る2 不思議な卵は飛翔族のモノらしい


 神護の言葉に、アンデット飛竜は首を傾げて神護をまじまじと見る。

 そして、その言葉の意味と共に、神護が見たことのある紋様を織り込んだ剣帯を身に着け、剣を装備していることにやっと気づく。


 『ソノ剣帯ノ紋様 おぼエテイル

  ヤハリ 彼ノ一族カ……

  ソウダ 剣 剣ヲ見セテクレ』


 アンデット飛竜の言葉に、今の状況が少しでも理解出来るモノになるならと思い頷く。

 そして、神護は剣帯から剣を外して、アンデット飛竜が見やすいように、剣の側面や柄などを見せる。


 「これなんだけど、この剣から

  何かわかるか?」


 差し出された剣の鞘と柄をまじまじと見て、確認したアンデット飛竜は、ひとつ頷く。 


 『アア …………我ノ知ラヌ間ニ

  イッタイ ナニガ有ッタ


  我ガ 翼ノ友ヨ

  ソナタ達 一族モ 我等同様


  ソノ特殊ナ《力》故ニ

  滅ビノ道ヘト向カッタカ………』


 滂沱ぼうだの涙で、呆然としなから、そう呟くアンデット飛竜に、神護は首を傾げる。


 えぇ~とぉ~………もしもし………俺…

 話しが、全然みえないんですけど…………


 ここは、こいつに、正気になってもらって

 きちんと、俺が理解わかるように

 この剣と卵のことを、説明してもらおう


 ついでに、ここがどこで

 どうすれば外に出れるかも聞こう


 「なぁ~……この不思議な卵の正体……

  なんなんだ? でもって

  この剣から何がわかったんだ?


  んで、なんで、そんなにあんたは

  哀しげに泣くんだ?


  あとさ、ここってどこか教えて欲しい

  それと、外へ出る方法もできれば

  知りたいんだけど………」


 神護の言葉に、アンデット飛竜はハッとしたように顔を上げる。


 『スマナイ 取リ乱シタ 少年ガ 

  不思議ナ卵ト呼ブ ソノ卵ハ


  我ガ翼ノ友 飛翔族ノ者ノ卵ダ

  ソシテ 少年ガ手ニシテイル剣ハ


  皇太子ガ装備スル 意匠ノモノダ

  少年ガ逢ッタ男ハ 間違イナク


  飛翔族ノ皇太子デアロウ………』


 ちょっと言いよどむアンデット飛竜の言葉に、神護はなるほどと頷きながらホッとしたような顔をする。


 よかったぁ~…この不思議な卵

 飛翔族っていう種族の卵なんだ


 流石に、ヘビとかトカゲのモノだったら

 どうしようって思っていたから………


 つぅーと…やっぱり……あの男の背に……

 あの時、翼を見たような気がしたのは

 見間違いじゃなかったってことか………


 じゃなくて、コレって皇太子の剣なのか?


 飛翔族の皇太子の剣と卵って…………

 うわぁ~………もしかして、あんまり

 考えたくないことになりそうな気がする


 神護は、アンデット飛竜からもたらされた情報に頭を抱えるのだった。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る