第72話0072★揺れる異空間?・迷惑な迷いの森5 なんの骨でしょう?


 船酔いにような眩暈めまいの治まった神護は、辺りを確認するように見回しながら、昨日は行かなかった枝分かれした小道へと歩みを進める。


 うぅ~ん……なんかなぁ………

 この森林地帯って、見れば見るほど


 テレビとかでよく見かける

 富士の樹海の映像にそっくりだなぁ


 鬱蒼うっそうとしているのに…………

 生き物の気配が、とても薄いんだよなぁ………


 いや、野生動物も、いるにはいるけどさ

 こういうところなのに、霊的なモノを

 感知しないのは、どうしてだろう?


 辺りを確認しながら進む神護は、生まれながらに霊感なるモノを有しており、そういう血統なので、俗に言う霊能力や超能力と呼ばれる類いのモノを保有していた。


 だから、そういう、俗に言う心霊モノの番組は、けっこう楽しんで見る。

 が、そういう現場へは、けして近付かなかった。

 誰だって、そういうモノには憑かれたくないから…………。


 まして、変な地場のあるところへ、のほほんと行って、危険なモノを拾うなんてもってのほかである。


 なんと言っても、まだ、霊的に無防備な妹も弟もいるので、そういうところへは、絶対に気軽に遊びになんて行かない神護だった。


 勿論、特殊な霊能力者を輩出する父方の祖父?や曽祖父?などから、そういうところへは、絶対に行ってはならないと言い含められていた。


 油断しなくても、とんでもないモノにかれたりして、拾うのが確実だからだ。

 ようするに、神護の血統は、そういう類いに好まれやすい体質なのだ。


 だから、霊能力者の家系として、ある一定年齢になったら、かならずそういう鍛錬を積むことになっている。


 勿論、その霊能力の鍛錬とセットで、特殊な古武術も習う。

 当然のこととして、無手から剣術まで………ついでに、乗馬なんかも…………。


 そして、一族がかくみののにしている神社で、御神事として、神護は幼少期から、流鏑馬やぶさめ射手いてつとめていたりする。


 けっこう…見た目よりは歩きやすいな…………

 ここに、神馬しんめの疾風が居てくれたら………

 もう少し広範囲を探索できたのになぁ…………


 御神事の流鏑馬やぶさめで乗る、神馬しんめの疾風が居てくれたら、どれだけ心強かったかと思いつつ、開けた場所へと足を踏み入れる。


 そこは…………。


 神護が足を踏み入れた空間は、かなり大きかった。


 そして、その空間には、とんでもないモノがででぇ~んと、鎮座ちんざしていた。

 それはそれは大きな、小山なんて言えないぐらい大きな骨の塊。

 

 「…えっとぉ~…この死体?…

  いや、白骨って言えばイイのか?


  なんでこの骨の群れは

  ほんのり赤い真珠色に輝いてんだぁ?」










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