第22話0022★ビャクヤの秘密2



 自分にそう言い聞かせた、皇太子ラー・レイ・ビャクヤは、それまでの成果を、全て灰燼かいじんとする為に《小結界》を張った。

 そして、哀愁を感じつつも、皇太子ラー・レイ・ビャクヤはその中の全てのモノを灰燼かいじんとしたのだった。


 これでいい とりあえず

 全て解読済みのモノだ


 そして この今までの蓄積した

 書物や魔道書と共に


 我が 飛翔族の皇太子

 ラー・レイ・ビャクヤは死んだ


 かの地に降り立つまで

 私は ただのビャクヤだ


 茶羽根一族ちゃばねいちぞくの裏切りにより、多くのモノと故郷を同時に失ったビャクヤは、ただひとつ手元に残した、禁断の魔道書を見下ろす。


 まだ コレの解読が

 あと少し残っている


 完全に 読破できてはいないが…………


 場合によっては

 未完で術を発動させるしかないだろう


 ふっ この 魔道書は 解読後

 処分せねばならんだろうな


 ビャクヤは、その部屋に置いていた食料と、まだ解読の終わっていない禁術が記された魔道書を手に、別の借りている部屋へと移動する為の空間転移をする。


 軌道きどうが残るのは仕方ないな

 だが あの部屋には

 直接移動していないからな


 街外れの森にはたどり着けようが

 隠れ家まではたどれまい…………


 そんなことを考えている間に、ビャクヤはある都市の街外れへと転移し終えていた。

 ビャクヤは、自分の移動を目撃した者がいないか確認する為に、あたりの気配を探る。

 勿論、当然小さな《魔力波》を放ち、反応するものがないかも確認する。


 ちなみに、今のビャクヤの姿は、姿変えの術でもって普通の一般人に見えるように細工されている。


 見た目は、キツネの獣人である。

 ひょこと頭の上に立つ耳に、ふっさふさの尻尾を揺らした姿。


 肩から腰までの短めだが、厚地の実用重視のマント。

 そして、丈夫で大きな袋を肩に背負っていた。


 中身は、金貨や銀貨と食料品と1冊の魔道書。

 そして、ビャクヤお気に入りの愛剣だけである。


 変化のさいに隠してあるが、腕輪や指輪も数個着けていた。

 いざという時の為である。


 一応、弓の類いも扱えるので、それも装備している。

 が、こちらは、完全に実用品だ。


 そう、獲物を獲る為の道具だ。

 見た目は、キツネの獣人の若い猟師というところだろうか。




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