第48話 女装して女子会に参加してみる

「おい、俺様のデートが母上に妨害されているぞ!何とかしろ!!」


俺様王子はレナンジェスの元にやってくると悔しそうに言う。


「そもそも王族の一行に何か言えるわけはありませんよ?」


「だが…兄上とチャールズ殿の事を考えるとだな…」


「アリウスよ、朕は悲しいぞ。其方が他人任せである事が」


「そうだよなぁ。それに…楽しそうで邪魔できない雰囲気だぜぇ」


カイザルとチャールズは楽し気な女子を見ながらそう言う。


「しかし…」


俺様王子アリウスは納得できないという表情だ。何しろ国王までもが空気なのだ。それを変えられる者はこの中には居ない。


「でしたら…皆で女子会に参加する方法もありますが…」


レナンジェスは悪い笑みを浮かべる。


『何を企んでいる?』


トリプル王子は怪訝な表情でレナンジェスを見る。


「あそこに貸衣装屋があります」


『それで?』


「皆で女装すれば女子会になるかと」


『出来るかぁ!』


トリプル王子は思わず叫ぶ。


「何事ですか?」


不意に第二王妃がやってくると状況の説明を求めた。


「なるほど。其方等も女装すれば女子会になると…良いかもしれぬ」


悪戯な笑みを浮かべる第二王妃。


「母上、朕は男ですぞ?それを女装とは…王族の権威を傷つけかねません」


「そうだよなぁ。レナンジェスなら兎も角、俺達はなぁ」


チャールズとカイザルは難色を示す。


「考えるな、感じるのだ!其方等の新しい扉を開くために!!」


第二王妃は嬉しそうに言う。そして5人の男子を貸衣装屋に連れて行った。




「朕は悲しいぞ。母上が女装男子愛好家だったとは…」


「本当にこの国の貴族は大丈夫かぁ?」


「俺様も心配になって来た」


トリプル王子はドレス姿で悲嘆に暮れる。


「我は…このままでも…」


ライディースは何故か嬉しそうだ。M故に辱めを歓迎しているのだろう。


「もう、みんなも合流するわよ!」


レナンジェスはレナンジェス“オカン”モードに切り替わる。そして女子達の元へ向かった。




「ママ、それと…誰?」


アリスはレナンジェス”オカン”を見るなり小走りで寄ってくる。


「フフフ…我が息子と王子達だ」


第二婦人は嬉しそうに言う。後ろのトリプル王子は恥ずかしそうだ。しかしライディースはクールビューティーな淑女になりきっている。


「…これが王子様…これなら子作り出来そうな気がします!」


アリスがトンデモ発言をする。


「あの…皆さまがどうして…」


ミーアはアリスの叫びを聞いて寄ってくる。そして美女5人を見て途惑う。


「ミーア様、これで結婚しても大丈夫ですわ!」


アリスはミーアの手を握り嬉しそうに言う。ミーアは恥ずかしそうに微笑む。新たな扉を開いてしまったのかもしれない。




その後、女装軍団は女子達と合流し遊び回る。そして休憩時に恋バナタイムだ。


「王との馴れ初めは…」


第一婦人が楽しそうに語る。どうやら賊に襲われていた王を剣技で助けたのが始まりだそうだ。


「そして第二王妃とは…」


「ちょっと待った!母上は第二王妃の恋人だったのか?」


アリウスが思わず叫ぶ。


「いや、ライバルだっただけだ。しかし友情も深まれば時として…」


そして百合の間柄を経て第二婦人になったとか。


「…朕は聞きたくない事実だ」


カイザルが茫然とする。


「そうですか…百合から始まるハーレムですか」


リムルは何やらメモを取る。


「それでは私がミーア様と結ばれても良いのですね!」


アリスは嬉しそうに言う。


『ダメだ!』


慌てて止めに入るチャールズとカイザル。


「でも、女装して4人で愛を育むのも…」


アリスは4人で幸せエンドを望んでいる。


「2人の殿方に…」


ミーアはそう呟くと鼻血を吹き出す。それをW女装王子は素早く処理し大惨事は免れた。


「レナンジェス…」


不意にライディースが耳元で囁く。


「何でしょう?」


「トイレに行かないか?」


「え?」


「実は…履いていないのだ」


そう言うと淫らな笑みを浮かべる。


『抜け駆けはさせませんよ』


気が付くとライディースの耳元でフォークを手にしたネイとリムルが黒い笑みを浮かべていた。

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