ある天使きょうだいの話~誕生後編~

柴田 叶

第1話~どうしておばあちゃんは家にくると

~どうしておばあちゃんは家にくると泣いているの?~




あの日、桜が満開の日に


産まれた叶さんは


大きくなり


幼稚園に通っていました。



そんな叶さんは


とっても引っ込み思案で


誰かに話しかけられると


恥ずかしくて


すぐママの後ろに隠れてしまう


おとなしい女の子です。



時々、叶さんは不思議に


思うことがいくつかありました。



おばあちゃんが遊びにくると


いつもおばあちゃんは一番に


タンスの部屋へ向かうのです。



そして叶ちゃんには、おばあちゃんが


タンスを見上げては、


何かブツブツ


言っては涙を流しているように


見えました



おばあちゃんは誰もいないのに


誰と


お話してるのかな?


それとも一人言!?



それにしてもどうして


泣いているのかなぁ?


気にはなったけど


子供ながらに聞いてはいけない気がして


少し離れた場所から見ることしか


できませんでした。



その前後、叶ちゃんには、


うっすらとした記憶が


ありました。



幼稚園に入る前後くらいのこと


突然、ある男の子がやってきて


家で遊んでいる記憶



その男の子はいつも急に現れて


ウルトラマンやお人形で


一緒に遊んでいた。



母の買い物に一緒に付いて行くと


近所の人に



「この子はいつも1人で


遊んでくれるから助かるのよ。」



と言っていた。



「えっ?別の部屋にいるお母さんからは


あの男の子は見えていないの?」



じゃあこの話は


お母さんにはしちゃいけないんだと


子供ながらに


内緒の話にしておこうと決めました。



しかし



小学生になる前に


突然、その男の子は


なぜか来なくなってしまいました。


 


誰にも相談できず叶さんは悲しみましたが


成長していくと周りに打ち明けることもなく徐々に


記憶は薄らいでいきました。



遊んでいただけなので


記憶ははっきりしないけど


家に来ていたのは


女の子でないことは確かでした。





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