確認した!
母が、眠れずに過ごしたわたくしに、そっと教えてくれたのだ。
「見積もりがね……」
いい加減、お気づきだろうが見積もりは施工前に交わされるもの。
施工が終わってから「これだけかかりましたー」といって、業者が好きに要求していいもんではないのだ。
「なにこれ……」
不備だらけの見積もり書。これが契約書がわりになるのだと、母は言うが……。
騙されてない?
思いっきり疑問である。
「渡すから、あなたが持っていて」
と母が言うから、これはわたくしにどうにかせい、というつもりなのかなと思った。
警察へ行った。
「いい加減な見積もりですね……」
セコはメールで「私の誠意と職人としてのプライドが……」とか、「私はハウス・ドクターですから!」まるで死人も生き返らせるとでも言いたげな文言を、かつて母に送りつけて来た。
しかしてその実態は……。
「ちょっとこれは……」
警察もびっくりの唖然である。
例に出そう。
屋根の施工は全て、㎡だの枚だの式だのの単位がついているが、その単数と値段が以前のものと比べるとマシマシになっていた。
250円が500円に、4枚が5枚に、85㎡が87㎡に、金額が32万3千円が39万1500円に……まだまだまだまだ、いっぱいあるが、屋根材の取り付け費と、横浜応援大工の手間賃が重複して請求してある。それぞれ、20万と2万。
そもそもおかしいのが、セコは手伝いの人に10日間、日当2万円を支払ったから、20万円先払いしてくれと言ってきた。
そんな金あるかい。バイトにそんなに払うの? 近くの自宅から通うのに?
「警察にはですよ? 不当とか以前にありえない。私も家を建てましたが、こんな見積もりの出し方聞いたことがない。だいたい、契約書のかわりに請求書っておかしいですよ」
普通は施工前に見積もりを出して、それが妥当であるか、依頼主が判断し、施工を頼むかどうかの契約書を交わすもんなのである。
それが……請求書の不備にツッコみつつも、その明細請求書をさしおいて、両親は50万円支払うと言ってしまった。
これは危うい。
裁判になったときの証拠がこちらに渡されてないのと同じ!
大変危機感をいだいた。
「警察署にはこんな案件、届いてないですし。警察、差し押さえ、裁判って、ハッタリですよ。訴えてくださいどうぞご自由に、って言えばいいじゃないですか」
「父は最初そう言ってたんです。でも母がなぜか抵抗して……」
暗い闇夜は続くようだ……。
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