きっかけ
勝利だギューちゃん
第1話
「だめだ、もう限界」
「もう、だらしないな。それでも、男なの?」
「俺は、インドア派だ」
「そんなの、いいわけにならないぞ」
目の前にいる、女の子に悪態をつかれる。
俺は、生駒桜太(いこま おうた)
男だ。23歳。
デスクワークの仕事をしている。
なので、当然運動不足だ。
これでは、体に良くない。
運動しようとは、思ってはいたのだが・・・
そこへ、同僚の女の子、つまり今目の前にいる女の子からだが、
「ねえ、登山に行こう」
「無理」
「どうして?」
「いきなり、派手な運動したら、あの行きだ」
「大丈夫、私が教えてあげるから」
この子の名前は、若草みどり
超アウトドア派で、登山が趣味だ。
休みには、出かけているらしい。
「ほら、つかまって」
差し出された手を握り、ようやく立てる。
「それにしても、なぜ俺を誘う?」
「暇そうだったから」
「それだけ?」
「うん」
即答かよ。
「生駒くん、彼女いないでしょ?」
「いない」
「やはり」
悪かったな。
「ねえ」
「何?」
「私が、彼女に立候補してあげようか?」
「募集してない」
「じゃあ、今から受け付けて」
「断る」
いつの間にか、言い争いになる。
「フフフ」
「何がおかしい」
「それだけ、元気があるなら大丈夫だね」
「口と体は、一致しない」
「さあ、行こう」
こうして、登山は続いた。
で、この子と恋人になるという、漫画やゲームのような事は、
起こるはずもなく・・・
そう、恋人にはだ・・・
「あなた、登山に行くわよ」
「どうして、こうなった」
「あなたの、両親によろしく頼まれたの」
「俺は聞いてない」
「いいから、いいから」
で、どこでどう間違えたのか、もっとあり得ない嫁になったわけで・・・
わからん・・・
ちなみに、こうのとりさんは、まだ来ていない。
「早く来てほしいね、あなた」
「当分いい」
「どうして?」
「既に大きい娘がひとりいて、手一杯だ」
「だれよ、その子」
つねってくる。
まあ、悪くないな・・・
きっかけ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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