大切な預かり物

勝利だギューちゃん

第1話

「ねえ、君」

「僕のこと?」

ふいに呼び止められた。


見た感じは、20代前半といったろころか・・・

髪の長いお姉さんだ。


今時って、感じがする。


「君は、地球は誰のものかわかる?」

「どうして、そう言う事を訊くの?」

「いいから答えて」

この人は、おそらく僕に言いたいことがあるのだろう。

だから、先手を取ることにした。


「これから、生まれてくる子孫のものだよね?」

「えっ?」

お姉さんは、僕がこう答えるとは思っていなかったのだろう。

キョトンとしていた・・・


「よく、先祖から譲り受けたというが、それは違う。

これから生まれてくる子孫からの、預かりものなんだ」

「・・・君?・・・」

「だから、私物化してはいけなんだ。借りたものは、大切にしないといけない」

「あの・・・」

「そうしないと、取り返しがつかない」

お姉さんは、さらに困惑している。


「人類は、これまで多くの生物の、絶滅させてきた。

でも、動物が滅ぶのはある意味で、自然の摂理。

人類も、例外ではない。」

「・・・君は・・・」

「現に今は、地球はおかしくなりつつある。

もう手遅れかもしれない。

でも、それなら治して子孫に返す」

お姉さんは、あてが外れたような顔をしていた。


「でしょ?タイムマシンで未来から来たお姉さん・・・

でも、実年齢は僕よりも年下だろうから、お姉さんも変かな」

「どうして気付いたの?」

僕は、お姉さんの鞄を指差した。


「そこについている人形は、世には出たが、まだグッズは出ていない。

そして、その本はまだ完結していない。

それと、言葉づかいが、

今と微妙に違う。ミスったね」

お姉さんは、頭をかいた。


「この時代にも、君にような人がいたんだね。

そう、私は未来人よ」

「で、この時代には何しに?」

「もし、君が『人類のもの』とか、『もらったもの』と答えたら。

私は、滅ぼす使命を受けた。」

「時空ハンターか・・・」

「そんなとこ」

そういうと、お姉さんは浮上した。


「安心したよ。君が昔から変わらなくて・・・

地球を守ってね。」

「変わらないって・・・」


≪お父さん、未来で会おうね。大好きだよ≫


数年後、僕は自然保護員の仕事につき、地球を守っている。

職場で知り合った女性と結婚した。


もうじき、子供が生まれる。

女の子らしい。


守るべきものが増えた。


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大切な預かり物 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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