贈り物

usagi

第1話 贈り物

家に帰ったら大きな段ボール箱が一つ玄関に置かれていた。

「ぬぬ?なんじゃこれは。」


家が荒らされた様子はない。

しかも、旧式ではあるが、ここはオートロックのマンション。そう簡単には中には入れないはずだ。


とりあえず管理人に電話するか…。

「あのー、3階の田中ですが。今日私あてにどなたか訪ねてきませんでしたか?」

「いやぁ、見知らぬ方が来たときには大体気づくはずですが。今日はどなたも…。何かありましたか?」

「いや、べつに…。」


「まあ、大丈夫かな。」

ダンボールの横に座り、横からたたいてみた。

それにしてもこのどでかいダンボールは何なんだろうか。

気になって仕方がない。

箱をぐるっと見てもなんの印も付いていなかった。


「よぉーし。」

バリバリっと音をたて、何重にも丁寧に貼られたガムテープをはがした。


中のものがキラリと光った。

なにやら銀色の大きな球体のようだった。

それを外に出してみると、球体には小さなボタンがたくさんついていた。


「えい、やぁ!」

ここまで来たらどうにでもなれ、と一番左のボタンを押してみた。


ピー、と音をたてて球体が反応した。

すると中から同じように銀色をした球体が3つ出てきた。

よくある中国のマッサージ用のボールのようだった。

同じボタンをもう一度押すと、それは中に戻っていった。


「よくわからんなー。じゃ、こっちはどうだ。」

またピーという電信音がし、今度は突然、昔はやった歌謡曲が流れてきた。


「なんだか面白いぞ。」

次のボタンを押してみた。ピーの後、中から機械の手が出てきた。

握手をしてくれという感じがした。


こちらの手を差し出してみた。

機械の手からはピリピリと電気が伝わってきて、手のつぼを刺激し始めてきた。


「なんじゃこの機械は…。」

ボタンは、球体上に無数についていて、次はどれを押そうか段々楽しみになってきた。

誰がくれたかはわからなかったが、これでしばらくは退屈がしのげそうだ…。


「パパ、気に入ってくれたかしらね。」

「今大人気の商品だから、きっと今頃は夢中になってるはずだよ。」


「でも、この老化防止マシーン、保証期間が半年しかないのよね。」


「半年もあれば十分だろう。」

「だっていくら老化防止できたとしても、それ以上は体の保証ができないでしょ。」

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贈り物 usagi @unop7035

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