第43話 宇宙人か神か

5月20日 月曜日

午前10時

自宅でテレビを見ている。

ニュース解説者と軍事評論家が画面に映っている。その他にも数人。

何かが起こると評論家は引っ張りだこだ。

元自衛官、元警察官、元消防隊員、元政治家。その他有象無象。

軍事評論家が話す。

「衛星画像を見ても分かるように、まず韓国側が発砲したが。海面に着水。そしてミサイルを2隻から一発ずつ発射するが保安庁の巡視艇に届く前に爆発。その後に2隻が爆発。 その間、巡視艇は竹島に近づき、そこに韓国側からの発砲があるが砲弾は途中で爆発。続いてミサイル8発が韓国側から発射されるが、巡視艇に届く前に全て爆発。巡視艇からの発砲は認められません」

キャスターが大きく相槌をうち言う。

「海上保安庁の巡視艇からは何も攻撃はしていない訳ですよね。何で韓国の戦艦からの大砲の玉やミサイルが爆発したんでしょう。前回と同じ小さな光の粒のような物も写っていますが、やはりこれがキーポイントなのでしょうか」

評論家が答える。

「2つの可能性が考えられます・・・この映像はCNNからの提供ですが、出元はアメリカのNSA、ナショナル・セキュリティー・エージェンシー、アメリカ国家安全保障局の衛星からの映像と思われます。要は偵察衛星な訳ですが、ここに強力なレーザー等の兵器を装備することは不可能でないと思います。軍事衛星からの攻撃の可能性が有ると言う事です」

「それは恐ろしい事ですね。世界中を攻撃できるという事になりますよね」

アナウンサーの大げさなアクション。

「アメリガ政府は否定していますが・・・・今の時代、衛星抜きには生活すら不便になります。テレビ放送、車のナビゲーションも衛星抜きには出来ない技術が使われています。それにアメリカ軍は無人飛行機、ドローンを使った空爆も多数行っています。衛星が無ければ、ドローンの正確な操縦は出来ません。その衛星自体にスピードの速いレーザー等の兵器を積めば正確で確実な攻撃が可能だと思います」

「便利さの陰に危険も隠されているという事ですね」

アナウンサーは眉をしかめる。

「もう一つの可能性は、これも前回も出ましたが、宇宙人説です。未確認飛行物体による攻撃です」

「宇宙人が日本の見方をしていると」

UFO研究家が口を挟む。

「私はその可能性が一番高いと思います・・・映像を見ると小さな光の粒な様な物が動き回っていますよね。この移動の速さは人類が作った物とは思えません」

宗教家が言う。

「そうです。人間が作った物でないのは確かでしょう。この我々が住んでいる地球と同じで、神の創造による物だと私は確信しています」


宇宙人から神様になってしまった。


テレビを消した。

スマホで銀行口座の残高を確認。

9億円が入金されている。残高は21億3200万円・・・ただの数字の羅列に見えてくる。何か買おう・・・何が欲しいか考える。


娘達が起き出してくる。

ソファーに座っている俺に、まとわりついてくる。

電話・・・二階堂から。

「はい」

「総理からの伝言です。昨日は有難うございました。次回も宜しくと言う事です」

マキが俺の肩の上にのって来る。猫みたいだ。捨て猫を拾った気分。

「分かりました。総理は忙しいようですね」

「各方面の対応で官邸は戦争のようです・・・ところで、総理が、あなたへのプレゼントは何かいいかと言われまして。車でも何でも」

ゆうかもマキに負けじと俺にまとわりつく。

「考えて連絡します。予算は?」

「3000万円位でと言う事ですが、多少はオーバーしても大丈夫だと思います」

「分かりました」

電話を切る。俺にまとわりついていたマキとゆうかが、俺の上に乗る。

どかそうとするが、力が出ない・・・・空腹だ。


キッチンではさえ子と綾香が朝食の用意をしている。

ホットケーキだ・・・メイド喫茶が頭をよぎる。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る