第10話 銀行強盗
テレビニュースのテロップが銀行強盗を報じていた。
埼玉県川口市の三菱USJ西川口支店。
銃で武装した4人組が店内に押し入り、現金を奪って逃走したらしい。
逃げたばかりか。
テレビを点けたまま急いで革スーツに着替える。
小さなウェストポーチに携帯とコンパス、チョコレートと1000円札を入れて腰につける。フィリピンで買った安物のサングラスを掛ける。
犯人グループは黒いアルファードで逃走していると言う。
ベランダから飛び立った。
3分後には西川口上空に到着した。
西川口駅前、三菱USJ 銀行裏手に急発進の際に付いたと思われる、タイヤのブラックマークを見つけた。
上空からブラックマークに集中すると、赤い破線がブラックマークから延びているのが見える。
俺には、こんな事も出来るのか。
その赤の破線をたどっていく。
高度500メートル位をキープしながら追跡だ。
ついに、赤の破線の終点に黒のアルファードを見つけた。
国道17号線を南下して、東京との県境である荒川を渡ろうと、戸田橋に差し掛かった所だった。
徐々に高度を下げていく。
戸田橋の東京側に着地し、アルファードが来るのを待つ。
空を仰ぎ、一呼吸して見るとアルファードか100メートルまで迫ってきた。
アルファードに駆け寄り、前に立ちはだかる。車の前部を抑え、後退りしながら、ゆっくりと車を止めた。
急に止めると追突事故の恐れがあるのだ。
運転手は驚き、ブレーキに続いてアクセルを踏んだ。前輪が激しく回転し、煙をあげる。
車内では男たちが大騒ぎしている。
面倒なので、アルファードの前部の真ん中に右拳を叩き込んだ。
俺の右拳はラジエーターを破壊し、エンジンブロックを半分まで砕いた。
異音をあげてエンジンが止まった
横に廻ってスライドドアを開けようとしたが、ロックされている。
引っ張ると、ドアごと外れた。
車内で猟銃を構えた2人が俺に向けて発泡した。
胸と腹に当たったようだ。
銃を取り上げ銃身をひん曲げる。
運転席と助手席から逃げようとする奴らの髪の毛を掴んで後部に引き戻す。
4人の腹部に軽くパンチを入れる。
気絶。
後部座席足元にキャンバス地のバックが3個。
1万円、5千円札、千円札で分けてある。小さなバックが5千円札だった。
自分のアパートから少し離れた所に着地した。瞬間移動の様に走り、金の入ったバック3個をベランダに投げ込み、自分の身体も滑り込ませる。
部屋に落ち着き、テレビを点けた。
銀行強盗逮捕のニュースだ。
犯人グループは戸田橋上で事故に遭い逮捕。
強奪した現金4億5千万円の行方は捜査中。
4億5千万円か・・・
部屋着に着替えバックの中身を部屋に出した。
44800万円。数えるのに小1時間掛かった。
現金輸送会社は保険に入ってる。保険屋も再保険に入っている。
自分を納得させる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます