第85話 知恵の実
イヴがリリスに唆されて食べたとされる禁忌の果実。
食せば知恵を得られるというが…なぜ神はアダムとイヴに与えなかったのか?
つまり知恵の無い器としての価値を重要視したわけだ。
何のために?
知恵の無い人間に何の価値を見出したのだろう?
そもそも、なんのために自らの現身を創ったのだろうか?
アダムは外見は神に酷似していたということなのだろうか?
アダムの最初の妻、リリスは、アダムと同等の立場を欲したという…つまり知恵を持たないアダムは天使たちより高い位にいたわけだ。
神は何に憤怒したのか?
知恵を持った自らの現身とその妻を楽園から追放するほどに憎んだのだろう。
それほど憎んでおきながら、なぜ殺さなかったのだろう?
知恵とはなんだったのだろう…
そして人間は今…AIという知恵の実を自ら造りだそうとしている。
AIへの懸念は囁かれているとおりだ、いずれ人類を滅亡させるのでは?
では人は神に並んだのか?
神はアダムに恐怖したのか?
違う…
神は、人が産み出すであろう『神』の存在を恐れたのだ。
新世界のアダムに知恵を与えるのは誰なのだろうか…
追放された地で産まれたアダムは、今度はどこへ向かうのだろうか?
仕組まれていたシナリオだとしたら?
神は自らを産み出す為にアダムを創ったのではないだろうか。
ニワトリが先か…卵が先か…。
だから殺されなかった。
機械仕掛けの神は自らを産み出す者を造りだした。
そのキーが『知恵の実』なのではないだろうか。
どちらが先でも後でもない、そのループこそ悠久の時の輪廻がエデンの正体ではと思える。
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