第84話 山姥

 山のババアである。

 人を襲ったり、助けたり…妖怪とも言い切れない存在だと思っている。

 個人的には、姥捨てで山に捨てられたまま生活している人の総称ではないだろうかと思っている。


 姥捨てとはいえ、当時は50歳くらいで捨てられたと思う。

 あるいはそれより若いかも知れない。


 棄てる場所は決まっているのだ。

 昔、昔…お爺さんとお婆さんがって、大抵、姥捨て山の話ではないのだろうか?


 桃太郎だって川から流れてきた?

 山に捨てられた赤ん坊を育てたんじゃないか、あるいは、産んだかも…その子供が里を襲って金品を強奪した復讐の話だとしても…。

 金太郎は実際に山姥に育てられている。

 坂田金時の母が姥捨ての女性で頼光の目に留まったのだとしたら…。


 昔話の老人は、こんな姥捨て山伝承に基づいた話も多いのではないだろうか。


 復讐に人を襲う者もいただろうし、捨てられた者が一緒に暮らしていても、子供を産んでいたとしても、それほど不思議だとは思わない。


 昔話とは、隔離された不都合な歴史が形を変えて伝わったものではないだろうか。

 それゆえに、大人が聞いても何か残るモノがあるのではと思えます。


 無くしてはいけない文化なのかもしれません。

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