カラット・ラディラブ
多田七究
第一章 始まりの記憶
第一節 マユとシュー! ピュアな出会い
第1話 しゃべる宝石
灰色の
まぶしいピンクとライトブルーが重なる。
光がはじけ、
ふたつの色は空中で凍ったように固まり、すぐにそれぞれ別々の方向へと飛んでいく。
そこにいる女性は、
ひとつの家の中。ボブカットを
「いってきまーす」
「いってらっしゃい」
制服姿の少女が、朝日に向かって進む。
二十人ほどがいる教室は、
「メグミもカナエも、制服だとなんか変な感じだね」
「冬服重いけど、よかったあ。マユと一緒で」
「喜ぶ相手が違うんじゃないかなぁ? めぐめぐ」
となりの席につくロングヘアの少女は、会話に参加しなかった。
真新しい制服で学校から出てくる、生徒たち。
家へと歩くマユが、道で光を
「ピンクのヘアピン? じゃない。
落ちている物は、親指くらいの大きさ。見た目よりも軽いことに驚きながら、少女が手に取った。冷たくない。
「きっと困ってるよね。交番に行って、落とした人に――」
『それは、こまる』
「え? えっと、
『なんで慌ててるの? ボクは、なんだったかな。シュ……シュー? ちがう気がするなあ』
「あちこち欠けてるから、忘れちゃったのかな?
『だいじょうぶかはともかく、誰も気づかないから困ってたよ』
桃色の
「とりあえず、シューって呼んでいいかな?」
『
「難しい言葉を知ってるんだね。
ほとんどの人たちから独り言に見えていることを、まだマユは知らなかった。
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