栗の木の塔
@ChizukaMoyori
第1話
この街に来て4000回目の鐘が鳴るより前に私は逃げるようにしてこの街にを去った。
「月城さん、毎日のように何十万というお金を使って遊んでいたというお話をお聞きしたのですが「お子さんたちに虐待を加えていたというのは事実ですか?」「外に男がいたという話もお聞きしたのですが「
「はっ、昨日まで贅沢して優雅に生活していた女が惨めなもんだ」
静寂な空間の車内でそう言葉をこぼす。
「先輩、今仕事中ですよ!滅多なこと言わないでください。聴こえてたらどうするんですか!」
「聴こえやしねぇーよ。あんなに質問ぜめされて囲まれてたらよぉ。それに結構な距離、離れてるだろ。」
「それはそうですけど、いつどこで誰が聞いてるのかわからないないんですから、気をつけてください。」
「へいへい、真面目な後輩ちゃんだこと。
でも人間欲張るもんじゃねぇなぁ。
旦那が金持ちになて裕福な暮らしを送れることだけじゃ満足できなかったのかねぇー。欲張るからこんなことになるんだよ。」
「だから何回も言わせないでください。今は仕事中です!それに先輩が言えたが義理ではないのでは?」
非難を込めて問いかけた。
「何がだよ」
「人間欲張るもんじゃないってところですよ。仕事サボってどこに行ってるんだか、と思ってたら、大体競馬かパチンコやってて、しかも欲張っていつも何万という金額飛ばしてるじゃないですか。」
「うっせぇー、そんなことより前見ろよ。
車動き出したぞ」
車のエンジンをかけ、ハンドルを握り小さな声でつぶやく
「なんでそういう時だけ真面目に仕事するんですかねぇー。」
「なんか言ったか?」
悪態を込めたふうに言われた。
相変わらず地獄耳な僕の先輩はさっきの言葉も聞こえていたようだ。怯むことなく返事を返す。
「先輩に対する文句なんか一言も言ってないですよ。」
「チッ、仕方ねえから今日も仕事頑張るか」
「今日もじゃなく今日はですよね」
「口の減らねえやつ」
そう返事をし、俺は目を閉じた。
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