時間恐怖症

ゆうさん

第1話

私は時間という概念が怖い。

初めてこう思ったのは中学2年生の時だ。

きっかけは些細なことだった。

毎週欠かさず観ていたアニメがある。これは私が生まれた頃に始まった作品だが、今でも根強い人気を誇り毎年劇場版も作られている。もはやあって当然の存在であるこのアニメを、私はある時からパタリと観ることをやめていた。これと言った理由はない。だが当時、このアニメがそろそろ最終回を迎えるのではないかというネット記事を目にした。勿論その記事に根拠などない。だが、これまで毎週その時間に、チャンネルを回せば映っているはずのものがなくなってしまうかもしれないということを想像すると、恐ろしく不安になってしまったのだ。

それはいつまでも存在しているという安心感が揺らいでしまうことへの不安だった。

その時の私が感じたものはとてつもない喪失感。そして誤魔化しようのない恐怖だった。

そしていつしかこの感情は他のものにも伝染していった。

あらゆるものの余命を妄想し、根拠のないその残された時間の経過に私は恐怖した。


ーーー続く

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