復讐開始!!

第47話 復讐開始!!

「「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」」


 ユイが抱きつく形で飛び込んだ魔法陣の先にある人間界。

 ビルがなく、中世のような街並、野菜が多く実っている農場、広々とした土地、街には川があり、水車が回っている。ただ、変わっているとすれば、「魔法」があることだった。


「魔法」の元となる「魔力」を石に詰め込むことによって出来た「魔力石」が光ることで、懐中電灯の代わりをしている。

 そんなのどかな街並みがいくつもある人間界。


 そんな世界で、2人は今、離れ離れにならないように手を繋いで、上空から落ちていた。


「うわぁぁぁぁぁあ!!」

「……ケイ、楽しい〜ね〜」

「いやいやいやいや、落ちてるから! ユイさん、落ちてるから!」

「……なんとでもなる!……たぶん」

「だったら、何とかしてくれよぉぉぉお!!」


 空は快晴。曇1つとしてない真っ青な空から見えるのは、いくつもの村。そして、奥に進むに連れて、だんだんと村の規模は大きくなり、街、そして──王城が見えた。


「……ケイ?」

「ふ……ふふ……ふはははは!!! 帰ってきた。帰ってきたぞ! ようやくだ。待ってろ、ゴミ共! 俺が──」

「……ケイ、ケイ」

「……なんだよ? 今、いい所なんだぞ」

「着いた」

「へ?」


 ドバッーン!と2人は真下にあった巨大な湖の中に着水した。何千という高さから落ちたせいで、湖の水は物凄い勢いで溢れかえり、半分ほど無くなっていた。

 そんな中、1人が水浸しのまま陸へと上がってきた。


「はぁっ、はぁっ……あ、危ねぇ……下が湖でよかった。ほんとに、陸だと死んでた」


 もう起きてしまったが、自分ならどうするかと考えていると、もう1匹の獣が陸から上がってきた。

 姿は灰色の毛並み、目は赤色で、全身に青い光が通っている。そんな1匹のフェンリルが上がってきた。


「プッ! あっはははは!!」

「……むぅ、ケイ、酷い」


 フェンリル化を解き、ユイは人の姿へと戻る。正確には、獣耳あり、尻尾ありの獣っ子の姿にだ。もちろん、服は着ている。


「はははは……はぁっはぁっ……はぁ〜笑った」

「…………」

「いや、悪い悪い。出会った時を思い出したらそっくりだ」

「……プッ、フフ……フフフフッ! 確かに、こんな感じだった」

「懐かしいな……見ろよ、ユイ。ここが人間界だ」

「……ん、この先どうするの?」


 お互いにびしょ濡れのまま、ちょっとした芝生に大の字で寝転がりながら会話を続ける。目を瞑り、気ままに吹くそよ風の心地良さを感じながら、ケイはユイの質問に答える。


「そりゃあ、やっぱり復讐だな。きっちり借りは返す。やりたいことをするだけだ」

「……ん、じゃあ、やっぱり邪魔なものは──」

「「皆殺し」」


 とある人間界の大きな湖の近くの芝生にて、禍々しい赤色の目を持つ2人の化け物が復讐を開始した。

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