第41話 まずは一撃
「ふんっ。吠えるな人間が! 面白い……どこまで耐えれるから見物だな」
不死鳥の翼にある羽の1枚1枚が、日の槍となってケイに向かって飛んで行った。ケイは横に走り出し、無数の火の槍が後を追う。
着弾した槍は、次々に地面を燃やし、ケイが活動できる距離を地道に削っていく。
「避けてばかりか!? その程度で我を倒すとは──」
「おいおい、まさか、これが全力か?」
「っ!! いいだろう……なら、少し本気を出してやる」
話しながら躱し、攻撃の隙を伺っていると、不死鳥の火の色が赤から白に変わった。そして、もちろん火の槍も白色に変わり、さっきよりも倍のスピードと数がケイに目掛けて放たれた。
「色が変わっ──危なっ……グハッ!」
スピードが速くなったので、顔に飛んできたの槍をヒョイと避けると後ろから巨大な爆発が起きた。
「クソッ……めんどくせぇ! 背中が少し焼けた」
ケイはさらにスピードを上げ、迫ってくる連続爆破をなるべく離れて回避し、近距離の一気に迫るためのスペースを気づかれないように慎重に作っていく。
だか、数も増し、スピードも上がったおかげで、完全には避けきれないためハンマーで弾いたり、前に転んだりして何とか回避している状態だ。
「はっーはっはっはっ! おいおい、どうした? 我を倒すんじゃなかったのか? それとも作でも練っているのか? それなら奇遇だな。私も同じだ」
「なにっ!?」
不死鳥が飛ばした爆発は地面に1mほど穴を開けるほどの高威力。なるべく同じところで回避しないようにしていたのが仇になったのか、ただ辺りを回っているだけなので何度か同じ場所に着いてしまう。
そこに無数の爆発する槍が飛んで来て、地面にさらに深い穴を開けてしまった。
「準備は整った。特別に見せてやる。見よ、我が力!! 『大噴火』!!」
「おい、ちょっと待て、これが技能……だと!?」
ケイと不死鳥の間を挟む中間の1番に溝が深い場所。不死鳥はそこから強制的にマグマを引き出し、小さな火山が出来た。
ドロっとしたマグマが空に向かって大噴射した。完全には溶けきれていない大きな岩が次々と打ち上がり、落ちてくる。
「くっそ!」
「はっはっはっ! どうだ、人間? これが5位の力だ! 落ちてくる小隕石と我の火の槍。さぁ、良けれるものなら避けてみよ!」
「ちょうどいい、そろそろ反撃だ」
「……なんだと?」
ケイと不死鳥の距離は約50m。間には今もなお成長し続けている火山が約10mの幅を取っている。落ちてくるのは溶けきれなかった岩の塊。真っ直ぐ飛んで来るのは無数の爆発する白い槍。
「死ねぇぇぇえ!!! 人間!!!」
「こっちだってやることがあるんだ。そうそうやられてたまるか! 『威嚇(極)』!」
「!!! こ、こんなもの!」
ケイの『威嚇(極)』はレベルが高いほど効かない。つまりは直ぐに動けるようになる。出来た隙は僅か6秒。
ケイの目の前に降ってきた小隕石をハンマーで、不死鳥に向かって打った。途端、バラバラに砕け、破片となった岩はケイに向かって来た白い槍に次々に当たり、爆発していく。
「ぐぬぬぬ……う、動けん! これでは、まるで──」
それと同時にケイは走り出し、距離を詰める。
降って来る小隕石を目もせずに真っ直ぐ。ただ真っ直ぐ。相手を確実に仕留めるために最短で、最速に。
「ちょ……ちょ、調子に乗るなよ、人間!」
ケイの予測とほんの1秒、不死鳥は気合いで『威嚇(極)』の金縛りから抜け出した。そして、最大速の白い槍が、5m先にいるケイに向かって放たれる。
「死ねぇぇぇぇえ!!!」
連続で打ち込まれたために、巨大な爆発が起こり、土煙に覆われる。翼で扇ぐとケイはそこにはいなかった。不死鳥がケイの居場所に気がついたのは、真上に出来た影。
「「うぉおおお!!!」」
ケイはハンマーを振り上げ、不死鳥は回し蹴りをするかのように右足を出した。
「か、『怪力(大)』!」
ハンマーと右足がぶつかり、お互いに変な音がした。
「ふ、ふふ、ふははははは!!! おいおい、傷つけられないんじゃなかったのか? バキッと足が折れてるじゃねぇか」
「よくも……」
「あ? なんだ?」
「よくも……よくもよくもよくも、我に傷を付けたな人間! 許さん。許さんぞ、クソがァ! 塵となるがいい!」
ブチ切れた不死鳥の体は、胸あたりを中心に、全身白から青に変わった。
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