たとえばそれは一つの愛であって
@mtkmti
第1話 「純粋恋愛批判」
冷たいリノリウムの床の上には、僕が座っている真っ白なシーツで包まれた金属製のベッド、銀色のスチール製の机と椅子。
そして壁にはマジックミラーと思われる鏡が備え付けられただけの部屋。
きっと彼女がいる部屋も同じような感じなのだろう。
心を丸裸にするような雰囲気、罪を話すにはおあつらえ向きだ。
「で、なんで殺したんだ?」
銀色のテーブルをはさんだ向かい側の椅子には、壮年の警察官が座っている。
ところどころに白髪が混じっており、20代の僕にはない威厳があった。
「僕と彼女の共同作業なんです。」
「…。」
警察官は嫌悪感を隠さず、僕の目を「じぃっ」と見ている。
理解されなくても仕方がない。人を殺してはいけない。それぐらいの一般常識は僕にだってある。
―――そう。僕と彼女は人を殺し続けたんだ。
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