第9話~魔界のワイハ~

レミア一行は次のマジックアイテムの所有者がいる魔界のワイハに向かっていた。


魔界のワイハは小さな島、そこには人間の立場からすると悪いイメージの悪魔、神などが休日を楽しむ為に訪れる魔界のリゾート地で、特に超上級特区と指定されたエリアには、サタンなどの有名人の別荘があり一般の悪魔などは立ち入りが禁止になっていた。


レミア一行はリヴァイアに乗り海を泳いでワイハまで来たが、島に入れず港の牢屋で足止めされていた。


事の始まりはレミア達がワイハに上陸しようとした時に黒いメガネを掛けたいかつい黒いデーモン達に囲まれ一番大きいデーモンに「パスポート、プリーズ」と言われ全員所持していなかった事から「不法入島」と言われ連行され牢屋に監禁された。


レミア達はパスポートって何?これから私達どうなるの?などと話していると、ドアの外から数人の話し声が聞こえ入り口のドアに付いている小窓が開き誰かが覗き少しすると小窓が閉まりまた外で何か話をし始めた。


「忙しいのに殿下、御免なさいねー」


「構わんよ、お前が不法入島のニュースを見て急に慌てだしたから、少し心配になっただけだから・・それで本人だったのか?」


「あんな恥ずかしい格好してるけど・・」


そんな話が聞こえるとドアが開き黒いデーモンの横にレミアの姉である着飾ったヴィクトリアが立っていた。


「お、おねーちゃん」


レミアがそう言うとカカラ、やよいちゃん、リヴァイアは同時に「えー」と言うと笑顔で目が怒っているヴィクトリアが指でレミアを呼ぶがレミアは昔を思い出し後ずさりそれを見たヴィクトリアは優しい声で


「レミア・・早く出てきなさーい、それとその格好をちゃんと説明しなさいね」


レミアの格好とは遡る事2日前、ワイハに向かうリヴァイアの背中でやる事の無かったレミア達は可愛い杖同様に可愛い服も使ってみようとなり、サイズの問題もありレミアに着用させ杖の時と同じくデーモン専用で魔力と防御力の能力が飛躍的に上がった。


「あら、可愛いじゃないレミア」


「やっぱりデーモン専用だな・・しかも・・」


カカラが黙るとレミアが


「しかもって何よー」


「レミア・・その格好・・恥ずかしくないか?」


カカラは意地悪く言うとレミアは思っていたけど言えなかった事を言われ赤面していた。


可愛い服は上下に分かれていて白と桃色の服でスカートにはフリルが付いていた。


「遥か昔いたと言われ、魔法使いの伝説に出てくる魔法少女みたいだな」


カカラがそう言うとやよいちゃんがなるほどとポンと手を叩き。


「レミアなら魔法少女じゃなくて魔王少女だね」


「うまい事言うじゃないか」


リヴァイアがやよいちゃんを褒める様に言うと。


「効果が分かったからもう着替える」


レミアは皆にからかわれプンプン怒りながら服を脱ごうとしたが杖と違い装備から外す事が出来なくなってしまった。


「あれ、着替えられない・・どうして?」


レミアがそう言うとカカラがまた意地悪そうに


「本当は気に入ってるんじゃないか?」


「いや・・脱ごうとしても何故か脱げない・・」


後にカカラの鑑定魔法で分かった事だがこの服には一度着たら着用者が死ぬまで脱げなくなる呪いがかかっていて、そして呪いも術者の魔力に比例し解除が難しくなっていて封印を解いたカカラですら解除出来なかった。


「レミア・・諦めて着るしかないようだよ」


「そんな・・こんな恥ずかしい格好のままなんて・・」


そうしてその格好のままワイハに到着した。



レミア達にはデーモン殿下の力で一時滞在の許可が発行され無事に入島を果たした。


そしてとある部屋で正座をさせられレミアはヴィクトリアの尋問を受ける事になった。


「それでお父様がそんな事を・・それでレミアは魔王になるの」


「はい、アイテムを全部集めたらそうしようかと・・」


レミアがそう答えるとヴィクトリアが子供を優しく叱る様に


「レミア・・そんな物集めても魔王にはなれないし無くても魔王にはなれるから」


「え!」


レミアが驚いていると。


「魔王なんて名乗れば成立するし、要するに強ければいいのよ」


「じゃーこの服は?」


事実をしったレミアは涙目になりながら脱げなくなった可愛い服を指差しながら言うとヴィクトリアは今にも泣きそうなレミアを見ながら「これ以上本当の事を言ったら泣いちゃうかも」と思いながら嘘をついた。


「お父様の趣味じゃなくて・・レミアに試練を与えたのよ


「試練?」


「そうよ、魔王になると色々と大変だからレミアに強くなってもらおうと・・」


レミアは涙を手で拭うと


「お父様の気持ちがようやく分かりました、レミアはまだ小さいしおねーちゃんみたいに強くならないと魔王なんてなれないよね」


「強い」と言われたヴィクトリアは実はレミアが姉妹では1番魔力があることを知っていたのでため息をついた。


「それで、ワイハにアイテムを持っている勇者がいると?」


「そう聞いてワイハにきたんだけど・・」


「ここには魔族、神しかいないはずだけど・・もし勇者がいるなら大問題ね」


ヴィクトリアは遠距離会話魔法を使い殿下にその事を報告した。


「はい、分かりました、その様にします」


話が終わったヴィクトリアはカカラ、やよいちゃん、リヴァイアを部屋に呼び4人に


「この事は他言無用で、今、殿下が潜り込んだ勇者を探しているから見つかるまでこのデスサイドホテルから出ないで下さい」


ヴィクトリアはそう言うと4人を見渡し順番に


「やよいちゃん・・お店はどうした?」


「お店はチーフに任してあるし、色々な街に行けて新しい店の出店も考えていて」


「ここには出さなくていいから」


「カカラ・・後数百年は地下にいるはずだが?」


「私は・・レミアと交換取引しただけだ」


「取引?自由にしてやるとでも言われたか?」


見知った人と話が終わるとリヴァイアをじぃーっと見て呆れた様に


「何でリヴァイアサンがここにいる?」


「ん?私か?何となく付いて来ただけ?だったが・・」


リヴァイアは少し考えて更にニコッとしながら


「海底で1人でいるよりレミア達といると何故か楽しいし退屈しない」


そんなやり取りを見ていたレミアが


「おねーちゃんもリヴァイアさんを知っているんだ」


そう言われたヴィクトリアは頭を抱えながら


「知っていると言うより知らない方が・・それより何でここにいるか私が聞きたい」


レミアはリヴァイアの事を話すとヴィクトリアが


「竜の気まぐれでFA《ファイナルアンサー》?」


リヴァイアは頷きながら


「そうFA」


そんな話をしていると殿下から遠距離会話魔法がヴィクトリアに届いた。


「ヴィクトリアです、そうですか・・わかりました・・今から向かいます」


ヴィクトリアが話を終わるとレミア達に


「勇者の居所がわかった、どうも近くの島にいるフェニックスを討伐しようとしているらしい、あれが居なくなるとワイハが寒くなる・・私は今から勇者を討伐に行くが付いてくるか?」


レミア達はアイテム収集も兼ねて同行する事になった。



一方、勇者達はシナリオ上復活に失敗し灰になった仲間を復活させる為にフェニックスを倒して「復活の羽」を手に入れようとフェニックスの住む島に向かっていた。



勇者達がフェニックスと遭遇して戦闘状態になって間も無くレミア達が空からその場に到着した。


勇者達がレミア達を見つけると「新手の敵だ」などと騒ぎ出すがそれを無視してヴィクトリアが魔法を唱えフェニックスの近くにそれを放ち爆発させ。


「フェニックス・・殿下からの伝言だ、ワイハは暑くてはならない」


フェニックスが声の主を確認すると慌てた様に勇者達に大量の炎を吐き始めた。


そしてヴィクトリアは見物を始めレミアは何もしないヴィクトリアに。


「おねーちゃん、いいの放っておいて?」


「フェニックスは殿下のペットだからいいんだ」


フェニックスの色々な意味での必死の抵抗も虚しく勇者達に討伐されてしまった。


「これで灰になった仲間が復活できる」


勇者が喜びそう言うのと同時にレミアが


「おねーちゃん討伐されちゃったよ・・」


「代わりのフェニックスはいくらでもいる」


ヴィクトリアはレミアに答えると今度は勇者達に聞こえる様に


「そこの勇者、ワイハへの進入及びワイハを寒くした罪は償ってもらうぞ」


突然、意味不明な事を言われた勇者達はフェニックスを倒した勢いで大口を叩いてしまった。


「ついでにお前たちも討伐してやる」


勇者が言い終わると同時にヴィクトリアの手がカッっと光ると勇者のいる横の小さな島が爆発して一瞬で蒸発してしまった。


「討伐する?私を?・・面白い・・やってみるか」


ヴィクトリアは笑いながら言うと魔法を連射して勇者達のいる一角を除いて全てを蒸発させてしまう。


「さて、最後はお前達ごと消し去ってやる」


ヴィクトリアが最後の魔法を唱え様とすると勇者が慌てながら。


「ま、待て、私達はこの羽が欲しかっただけだ」


勇者が羽を見せながら言うとヴィクトリアが


「それは殿下の所有物・・だから窃盗も追加だな」


「な・・」


勇者は声が出なかった。


ヴィクトリアは黒メガネの黒デーモンSPを召喚すると勇者達をあっという間に束縛して連行させその時にレミア達のアイテム「可愛い髪飾り」も押収した。


ヴィクトリアは可愛い髪飾りをレミアの頭に乗せると。


「レミア、帰るぞ・・」



ワイハに帰るとヴィクトリアに4人は連れられ殿下の待つ宮殿に連れて行かれた。


ヴィクトリアと4人は殿下に跪いていた。


「この度の勇者討伐に関し全員に褒美を使わす」


殿下がそう言うとヴィクトリアが下を向いたまま


「フェニックスを失った罪は・・」


「心配するな代わりのフェニックスは手配済みだ」


殿下はヴィクトリアが言い終わる前に言うとレミアを見ながら


「レミアと言ったな、お前の話はヴィクトリアから聞いている、辺境の魔王になるくらいならここで我輩の部下にならないか?」


レミアはそう言われたが


「殿下、嬉しいお話ですが私はあの辺境が好きです、ワイハの様に大都会もいいなと思いましたが、お父さんとの約束したのであそこで魔王になりたいと思っています」


「そうか、それなら魔王になった暁には我輩を城に招待してくれ」


「はい、その時は」


殿下との話が終わりレミア達がデスサイドホテルに戻るとヴィクトリアから遠距離会話魔法で捕まえた勇者から次のアイテムの所在を聞かされ、その場所は人間界のレミアのいた魔王の城からでも2ヶ月かかる場所にあった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る