第2話

 「いや今日の話しをする前にこれを見てくれ。」


そう話すとお爺さんは敬三に古い懐中時計を手渡した。


 「これ結構レトロだね。しかもよく見るとまだ動いてるし。お爺さん、この時計どうしたの?」


敬三が興味津々にお爺さんに懐中時計の事を尋ねるとお爺さんは嬉しそうな顔で答えた。


 「よく聞いてくれたな。この時計は親父の形見なんじゃよ。わしがまだ若い青臭い学生の頃に親父がずうっと大切にしてた時計をわしの誕生日にくれたんだ。親父は海軍の少佐でその後ミッドウェー海戦で戦死したがな。その時計をまだ貰ったという意識がわしにはなくてな。まだ似合わないような気がして。でも、その後わしは学徒動員で戦地に行った時にこれを持っていったんだ。その時の話しをお前にしたくて今日は来たんじゃよ。」

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