円游

田中目八

『円游』

円錐の尖に円錐花薄荷

死ねばまた戻り来銀杏黄葉かな

いさな取わざをぎはまた詩の一片

方寸にわざをぎ一個小六月

心身に無機物殖ゆる冬しづか

木葉髪けものから人からものへ

まだ誰も死んでない部屋冬の虹

寒牡丹明かり落ちても未だ生きる

沈生がのぞみ一陽来復す

晩歳や沈む沼あるありがたさ

ポー四十まで呆は四十から老の春

おほいぬのふぐり弱者は油断せぬ

赤貝の殻やわざをぎ独りなる

躊躇わず筆濁す黄塵万丈

春患ひドン・キホーテの手の円錐

万緑に全能捨つる暗愚かな

うみねこや同じ臭ひの生者死者

存在は残したくなき黴雨かな

虹未完成まだつづく悦びよ

てはじめに正気を捨つる游ぎかな

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円游 田中目八 @tamagozushi

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