第613話 クラーラと呪われし剣① 呪いの効果
長年愛用している大剣が長期メンテナンス中ということで、クラーラは急遽エノドアで代用品を購入。
しかし、その剣がどうもおかしいという。
明らかに体調を崩しているようだが、本人は風邪の引き始め程度にしか感じておらず、詳細をトアたちへ伝えることはなかった。
――が、そんなある日、ついにクラーラの体力は限界に達して倒れてしまう。
奇しくも、その日に愛用の剣のメンテが終わり、午後にはドワーフたちから受け取る手筈となっていた。
クラーラが倒れた際、トアは港町パーベルにいたが、冥鳥族のアシュリーが大空を猛スピードで飛んできて伝えたため、すぐに帰還。
「クラーラ!」
「しーっ。お静かにね、トア村長」
「あっ、す、すいません、ケイスさん」
ケイスが運営する診療所のベッドで横になるクラーラ。
その表情はとても苦しそうで呼吸も安定しない。
だが、肝心の原因について医療の専門家であるケイスはお手上げだという。
「医者としてはこれ以上手の施しようがないんだけど……可能性があるとすれば――」
「呪術じゃな」
話の途中でローザが割り込んでくる。
彼女はケイスから依頼を受け、クラーラの容態をチェックした後で該当する現象がないか調べていたらしい。
その結果が呪術なのだという。
「じゅ、呪術……」
「お主も名前くらいは聞いたことがあるじゃろ?」
「え、えぇ……でも、呪術ってとっくに廃れたと聞きましたが」
「そうじゃ。魔法に比べて使い勝手が悪く、必要とする機会が限られているという理由から次第に敬遠されていった……じゃが、一部の者は呪術を崇拝し、ごくわずかだが現代でも使用できる者がいるという。クラーラの場合、あの剣にその呪術が使用されていたようじゃな」
「剣に……」
それはクラーラがエノドアで購入したという紫色の鞘におさめられた剣だった。
「残念じゃが、呪術についてワシは専門外でな。代わりと言っては何じゃが、知り合いに詳しい者がおるので今からそいつのもとへ向かおうと思っておる」
「お、俺も行きます!」
「そういうと思っておった」
クラーラを苦しめている呪術から解放するため、トアの他にエステルとフォルのふたりが同行することに決まった。
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