第437話 ホルバート、再び
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「言霊使いの英雄譚 ~コミュ力向上のためにマスターした言語スキルが想像以上に有能すぎる~」
こちらもお読みいただければ幸いです!
「ざまぁ」、「追放」ものが好きな方はぜひ!
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クラーラとマフレナにとって嬉しくも悲しい出会いと別れがあった翌日。
「えっ!? ジンさんのところにユニアさんが来たんですか!?」
「ああ……まったく、相変わらずお騒がせなヤツだ。トア村長も、迷惑をかけて申し訳なかった」
困ったように言いつつも、ジンはどこか嬉しそうだった。
――それはそうだろう。
マフレナの話では、ジンとユニアは一族の中でも群を抜いて仲睦まじい夫婦だったという。
亡くなった最愛の妻が現れて、嬉しくないはずがなかった。
マフレナの性格異変事件はこうして幕を閉じた。
「わっふふ~!」
今日も要塞村には朝からマフレナの元気な声が響いている。
「元気そうで何よりだわ」
「本当に……お母さんの件を気にかけたままだったらどうしようかと……」
トアとクラーラは心配していたよりもマフレナが元気であったことにホッと胸をなでおろしていた。エステルとジャネットも同じ気持ちで、にこやかに市場で店支度をしている商人たちと話しているマフレナの姿を見て安堵のため息を漏らしていた。
「さて、マフレナの元気に負けていられないな」
「そうよ! 私たちも頑張って仕事しなくちゃ!」
トアたちがそれぞれの持ち場へと散っていこうとした――まさにその時、
「久しぶりだな! トア・マクレイグ!」
朝市に響き渡る男の声。
トアには聞き覚えがあった。
「早朝だというのに活気に満ち溢れているではないか、君の村は。さすがは僕が生涯のライバルと認めた男!」
派手なポーズを決めつつ、トアのもとへやってきたのは同じ年齢くらいの青年。
その名は――
「君は……………………ホルバート!」
「だいぶ間があったな!?」
そう。
かつて、エステルにプロポーズをするためエノドアに押しかけたあと、トアとの直接対決に敗れたホルバート・ガーベルであった。
「あんた!? 前にエステルを口説こうとしたヤツね!」
「ふっ、この僕の名を覚えているとは……褒めてや――」
「随分と騒々しいですねぇ。何かあったんですか?」
ホルバートの発言中に割って入ってきたのはフォルだった。
「ぐっ……この甲冑兵め……」
「おやおや、誰かと思ったらいつぞやの……ゴンザレスさんでしたっけ?」
「誰だ、そいつは!? 僕はホルバートだ!」
「どうでもいいけど、なんの用なの? まだエステルをあきらめきれていないの?」
「……それは違う」
ちょっとだけ間があるあたり怪しいが、ホルバートとしても前回の一件でエステルの気持ちが揺らぐことなどないだろうと確信していた。
なので、今回は別件でトアのもとを訪れたのだ。
「今回は――君とエステルに招待状を持ってきた」
「「招待状?」」
これにはトアとエステルだけでなく、クラーラやジャネットも首を傾げる。
「一体、なんの招待状なんだ?」
「それは当日のお楽しみだ」
「なんでトアとエステルだけなのよ」
不満げに訴えるクラーラへ、ホルバートは前髪をファサっとキザッたらしくかき上げながら答えた。
「今回は特別さ。悪いが……君たちはまたの機会にしてくれ」
「そ、それって、どういう――」
「ではしかと渡したぞ? 指定の場所へ指定の時間に必ず来るように!」
そう告げた後、ホルバートは高笑いをしながら帰っていった。
果たして、ホルバートがふたりを招待した目的は一体何なのだろうか。
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