第329話 地下迷宮の新たな謎
新作はじめました!
「嫌われ勇者に転生したので愛され勇者を目指します! ~すべての「ざまぁ」フラグをへし折って堅実に暮らしたい!~」
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コメディ色強めになっております!
読んでみてください!
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要塞村地下迷宮。
ザンジール帝国が他国よりも遥かに進んだ技術力を結集し、最新鋭の魔法兵器を開発していた場所とされている。今ではすっかり廃墟となり、銀狼族のテレンスをリーダーとする冒険者たちによって、アイテム回収と全容解明に向けた調査が行われていた。
また、これまでは主に銀狼族や王虎族の若者たちが主力メンバーであったが、彼らが古代遺跡の調査に回って人手不足となったため、ナタリーの計らいにより信頼のおける人間数名が新しいメンバーとして参加していた。
そんな地下迷宮探索をメインの職場とする冒険者メンバーに、最近新メンバーが加わっていた。
「テレンス殿! こっちにもアイテムが落ちていたであります!」
「おお! よくやったぞ、メディーナ嬢ちゃん!」
それは魔界からやってきた魔人族のメディーナであった。
他の種族よりも魔力に敏感なメディーナは、その能力を生かして魔道具の探知をし、回収するという役目を担っていた。
そのメディーナの活躍もあって、これまでよりも地下迷宮探索はスピーディーに行われるようになったのだが――この日、メディーナはある場所で立ち止まり、何やら腕を組んで深く考え込んでいるようだった。
「どうかしたのか、メディーナ嬢ちゃん」
テレンスが声をかけると、メディーナが振り返る。
「いえ……何やらこの壁の向こうから懐かしい気配がして」
「懐かしい気配?」
メディーナの言葉を聞いて真っ先にテレンスが思い浮かべたのは、彼女の故郷である魔界のことだった。
現在、八極であり考古学者という顔も持つシャウナが力を入れて調査している地下古代遺跡――以前、トアやシャウナたちはその遺跡から、一時的に魔界へ転移し、そこでメディーナと出会った。
トアたちが魔界へ入り込んだのは偶然の出来事であったため、現在、メディーナは魔界へ戻れず、この要塞村で暮らしている。
紫色の肌。
黒目と金色の瞳。
そして角と尻尾。
外見は他の種族と比べても異質ではあるが、非常に明るい性格で人懐っこく、今では村民たちから愛される存在となっていた。
そのメディーナが懐かしがっている――つまり、帰れなくなった故郷である魔界関係の物がこの近くにあるということではないかとテレンスは読んだ。
「どれどれ……」
早速、テレンスはメディーナが見つめる壁に手を当てる。すると、
「む?」
テレンスはその壁に違和感を覚えた。
同行していた他の冒険者が「どうかしましたか?」と声をかけるが、テレンスは「しっ!」と人差し指を口元に添えてから耳を壁につける。その後、手で軽く壁を叩いた。
「これは……」
顔をしかめたテレンスは、その場にいた冒険者たちに事情を話し、一度地上へ戻ることを提案した。
◇◇◇
地上へ戻ったテレンスは、メディーナを連れてトアのもとを訪れるため、エステルたちと共同生活をしている新しい私室を訪ねた。
コンコン、とノックをして、トアの返事を待ってから室内へと入る。
「失礼するであります、トア村長!」
「すまないな、急な来訪で」
「いえいえ。でも、珍しいですね」
部屋ではトアの他にクラーラがアネスとハンナを相手におままごとをしていた。
エステルはローザと修行へ。
マフレナは父ジンと共に狩りへ。
ジャネットは工房へ。
それぞれ用事で部屋にはいないとのことだった。
トアはふたりを来客用の部屋へと案内し、そこで詳しい話を聞くことに。
「ふたりが揃って訪ねてきたということは、地下迷宮絡みですか?」
「そうなんだ。実は……どうも地下迷宮には隠された部屋があるようだ」
「隠された部屋?」
テレンスは詳細な情報をトアへと告げる。
メディーナが懐かしさを覚えた場所の壁――その部分だけ、周りの壁と叩いた際に生じた音が違っていた。壁の向こうには空間が広がっているとテレンスは推測していたのだ。
以前、領主ファグナスからもらった要塞ディーフォルの内部を簡単に示した地図を見てみても、そのような部屋は確認できない。帝国が地図に載せなかった、秘密の部屋――トアは興味をそそられた。
「この話はシャウナさんにも持ちかけてみましょう。まず間違いなく興味を持つと思います」
「では――」
「調査しましょう。地下迷宮の秘密の部屋を」
こうして、シャウナも交えた新生冒険者パーティーが結成され、地下迷宮の新たな謎に挑むこととなった。
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