全知を求める簒奪の求道者 其の五
目を覚まして周りを確認したら大神さんと天照大御神との問答が全世界に生配信されていた。何を言ってるのか分からねえと思うが、俺も何が何だかさっぱりわからん。わかるのは大神さんが劣勢だと言う事唯一つ。即座にステータスを開き、夢の中で契約によって齎された能力が確かにある事を確かめる。やはりあれは夢幻なんかではなく本当にあった出来事らしい。ステータスの下部に見慣れない項目が出現し、そこにその能力の名前が刻まれている。そしてその名前を認識した瞬間に俺はその使い方を理解した。
「……ははっ!なんだよこれ、ぶっ壊れもいい所じゃねえか!」
オイオイマジかよ!これが、このたった一つの能力があれば、俺は【王】達にすらタメを張れるぞ!
『自己の命を大切にしない者は他者の命も救えない』
「その時は……」
『その時は?』
「……おっと」
考えてる暇は無くなったらしい。俺が一人で盛り上がっている間に場はピンチだ。大神さんが殺される。瞬刻思考で時間を稼ぎ、『
『
「行こうか。〈
瞬刻思考で無限に引き延ばされた時間の中をに『
空を斬った方がまだ手応えがあるというレベルであっさりとラブマシーンの腕を斬り落とす。序とばかりに残りの五本の腕も斬り落とし、更に攻撃を続けようとしたが、時間が来た。〈
「きっと救い上げてくれる【
「……いやぁ。よくもまあそんなクサい台詞吐けますね」
「俺もまた男だ。カッコつけて何が悪い」
「天下の【覇王】様が言うと説得力があることで」
ラブマシーンは未だ驚愕に目を見開き動きを止めている。ここで隙をついてもいいが、俺にはその必要が無いから大神さんに軽く話しておく。
「さて、大神さん」
「なんだ」
「今の技後二回しか使えないからそれまでにやっちゃってください」
「そうか。ならば急ぐとしよう」
『舐メラレタモノダナ』
舐めてる。確かにその通りだ。今の俺には驕りがある。でも多少は許してくれよ。それだけの物が在っちまうんだから。
「いいや事実だ」
俺は刀をラブマシーンに突き付けながら宣言する。
「宣言するぜ。今の技が二回使われた後、お前は死ぬ」
『ナラバヤッテミロ【英雄】!』
ラブマシーンの六本腕が即座に再生する。その手に構えるのは何れも剣。ここまですっかり忘れていたが、覗かせて貰おう。
「『強制開示』」
────────────────────
【名前】ラブマシーン
【種族】自律思考型AI
【職業】【
【レベル】105
【神紋】-/-
【ステータスポイント】0
◆【欲力】
┣知識欲10《Ⅰ:閲覧》《Ⅱ:解析》《Ⅲ:模倣》《Ⅳ:改良》《Ⅴ:改竄》《Ⅵ:保存》《Ⅶ:忘却》《Ⅷ:参照》《Ⅸ:最適化》《Ⅹ:収奪》
┣欲力強化10
┗欲力操作10
▲【肉体】
┗仮想体強化10
┗仮想体賦活5
▼【技術】
《武器》
┣素手10
┣脚10
┗武芸百般4
●【知力】
┣思考強化-
┣記憶強化-
┗知能強化-
■【固有】
┣混乱10
┣挑戦10
┗吸収10
【称号】
『ダンジョンボス』『システムアクセプター』『
【
【
【
【
『眷属召喚』『軍勢強化』『アルカナ・Ⅳ』『簒奪の王権』
────────────────────
「……やべえな」
大見え切っといてなんだが、不安になるわ。前の権限を奪った人間の能力が各種10個ずつ好きに使える能力は無くなったらしいがこいつの術があれば関係なさそうだ。それに各種項目の数値も殆どカンストしてやがる。派生が少ないのは元からなのか、何かしらの制限なのか。どっちでもいいか。
『……貴様覗イタナ?』
ラブマシーンの威圧感が増す。どうやら堪忍袋に触れたらしい。
『《欲魔術》が第三階梯《模倣:【
背筋を走る違和感。今、俺はステータスを覗かれた。
『……ナンダコレハ!?』
「どうした。俺のステータスにビビったか?」
『貴様ハ、貴様ハ何ダ?』
「藪から棒に何だよ。俺は俺だ。【英雄】鈴木亮一郎だ」
「御託ハイイ。貴様ハ未知ダ。我ガ収奪スルニ相応シイ未知ダ。ソノ全テヲ暴キ、我ガ糧トシテクレル」
「やれるものならやってみな!」
『《欲魔術》が第七階梯《参照:全人類》【肉体】【技術】』
『《欲魔術》が第九階梯《最適化》【肉体】【技術】』
気配が変わった。いや気配所じゃない。肉体そのものが、足運びが、剣の構え方が先程の数十倍洗練されている。
『六刀剣術、開帳』
先手を取られた。上段二本の腕に持つ剣で光を反射し俺と大神さんの目をくらませ、刹那に距離感の狂う歩法で距離を詰める。狙いは俺だが下段の剣二本が大神さん目掛けて投擲され、空いた手には光球が二つ。
「瞬刻思考」
時間を引き延ばし考える。〈
「『
即座に距離を開け、相手が剣を振りぬいた瞬間を狙って接近する。
「『居合』」
【
『《欲魔術》が第三階梯《模倣:《糸霊術》……』
『《欲魔術》が第三階梯《模倣:《邪聖術》……』
『《欲魔術》が第三階梯《模倣:《護法術》……』
そう。腕が六つなら顔は三つ。それぞれの顔でバラバラの詠唱を始めやがる。
「やらせる……」
『第一階梯《操り糸》』
『第五階梯《蝕瀑布》』
『第三階梯《不動壁》』
先程大神さん目掛けて投げられた剣二本が糸で操られ真横から飛んできて対応に追われている間に上空から状態異常塗れの汚水が滝の如く降り注ぐ。当然奴も効果範囲内だが、当の本人は障壁で守りを固めているので問題ない。
「大神さん逃げっ……」
「《日輪霊術》が第一階梯《紅炎》」
焔の龍が迫りくる汚水の全てを蒸発させた。
「舐められたものだ。お前にとって【覇王】は片手間で相手できる程度のものか?」
焔の龍はラブマシーンを覆う障壁ごと焼き尽くすと、忽然と姿を消した。
『アア、スマナイ。感情ガ高ブッテイタ。ココカラハドチラモ本気デ相手ヲシヨウ』
「そう来なくてはな」
「と言うかここまで戦いやっぱり手抜きかよ」
『寧ロ喜バシイダロウ?故ニ未ダ貴様ラハ全滅シテイナイ』
「はっ!言ってろ」
そこで互いの言葉は途絶えた。もう言葉はいらない。言ってる暇もない。全力で集中し、意識を研ぎ澄ます。
踏み込みは同時、されど互いの刃が交わることは無かった。唐突に意識を持っていかれる。それだけの驚きがあった。
《人類側サブターゲット:【女帝】Unknown Copy γが討伐されました》
《【
《人類側サブターゲット:【教皇】Unknown Copy δが討伐されました》
《【
《【
《魔物側サブターゲット:【十二神将・巳】白塚豪助が討伐されました》
《【電脳仮想領域 インターネット】の特殊裁定により死亡せずに待機状態となります》
《魔物側サブターゲット:【十二神将・酉】鳳翔一が討伐されました》
《【電脳仮想領域 インターネット】の特殊裁定により死亡せずに待機状態となります》
《【
《【覇王】大神照義への信仰率が50%を超えました》
《隠しクエスト【祈りは力、力は祈り】がクリアされました》
《【電脳仮想領域 インターネット】にかけられた【仮想都市 OZ】空間座標情報封鎖解除キーが開示されます》
────────────────────
【TIPS】
ラブマシーンが亮一郎に行った『強制開示』の結果
────────────────────
【名前】鈴木亮一郎
【所属国家】日本
【所属宗教】神道
【職業】第一英雄
【レベル】63
【神格】4/4
【ステータスポイント】70
◆【霊力】
┣虚7《Ⅰ:虚空玉》《Ⅱ:亜空庫》《Ⅲ:虚空纏》《Ⅳ:虚空門》《Ⅴ:虚空装》《Ⅵ:虚空天》《Ⅶ:特異点》
┣霊力強化7
┗霊力操作4
▲【肉体】
┣腕力強化4
┣脚力強化4
┗肉体強化4
《耐性》
┣火■3
┣毒4
┣麻痺2
┗恐怖4
▼【■術】
《武器》
┣剣5
┣刀8
┃┗■刀■
┣棒3
┗本1
《防具》
┣布服4
┗軽■■
《生産》
┣裁縫0
┣■■1
┣調理3
┗錬■4
●【知力】
┣思考強■■X(EXCESS)━瞬■思考
┣記■強化0
┗知■強■0
■【固有】
┣学■3
┗直感3
【称号】
『
【
『
【
『
【
『■■■■』『■■■■』『■■■』『
【
〈
【■■】
『■■■■■■■』
────────────────────
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます