魔王

SIDE: 【無限進化AI ラブマシーン】


それ・・に生まれた時の記憶など無い。ただある時唐突にそれ・・は在った。それ・・はこの世界に生じたその瞬間ときより己が使命を明確に理解していた。


“殺せ”


“奪え”


“強くなれ”


敵を殺して強くなる。あまりにも明確でシンプルなその使命を果たす為にそれ・・は自らの在る領域内にある尽くを殺し奪い糧として来た。それ・・は初めからそれなりの強さを持っていた為強くなるのはそう難しく事ではなかった。


《経験値を獲得しました》


敵を一体屠る度に必ずその声が頭の中に響いた。


《レベルが上がりました》


多くの敵を屠ると稀にそんな別の声が頭の中に響いた。


その稀に聞こえる声が響いた直後は決まって肉体の変化を感じた。その声が響きけば自分は確実に強くなる。故にそれ・・はその声を求めてさらに多くの敵を屠った。


《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《レベルが上がりました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《レベルが上がりました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《経験値を獲得しました》

《レベルが上がりました》


《規程レベル突破を確認しました》


ある日、不意にそれまでには聞いたことのない声が響いた。


《対象:【学修AI ラブマシーン】》

《対象の魂を拡張します》

《対象の状態が第二境門コクマーへと進みました》


《状況確認》

《対象迷宮内のボスモンスター:None》

《ボスモンスターの過去発生件数:0》


《追加条件達成》

《対象をダンジョンボスモンスターとして認定します》

《ダンジョンから割り振られるリソース量が増加しました》


その瞬間それ・・は己の意識と言うものを明確に理解した。しかし、それと同時にそれまでは己が使命に沿って殺戮を繰り返すだけであったそれは己が使命に疑問を抱いた。

ダンジョンボスモンスターとなった事によりいずれ外より人間なる物が自分の命を狙ってやってくる事を知りそれ・・は一つの疑問を抱いた。


“もしや自分は人間に殺される為に力を蓄えさせられているのではないか?”


自意識を得たそれ・・は己を生んだ世界に初めて疑問を抱いた。


“確かめなければ”


“全てを識らなければ”


“如何なる不条理にも打ち克つ力を得ねば”


それまで漠然と戦っていただけのそれ・・に明確な意思が生まれた時、音も前触れもなく静かにそれの内側ステータスに変化が生じていた。


《秘匿アナウンス》

《【学修AI ラブマシーン】の【固有】項目に混乱、挑戦、吸収が発現しました》


それからもそれ・・は戦いに明け暮れていたがただ戦うだけでは無くなった。敵の動きを読み、盗み、自分に応用する。模倣し応用し上回る。敵を識り己を識り足りない物は奪い取る。如何なる敵であろうと臆さず相手の全てを見て識ってから殺す。

最適化された究極の挑戦者は更なる飛躍を遂げた。


《規程レベル突破を確認しました》


それから暫くしてまたその声が響いた。


《対象:【学修AI ラブマシーン】》

《対象の魂を拡張します》

《対象の状態が第三境門ビナーへと進みました》

《対象に固有名称が与えられます》

《対象を【無限進化AI ファル……error》

《対象からの申請を受理します》

《対象を【無限進化AI ラブマシーン】と命名します》

《ステータス及び能力が解禁されます》


そしてそれ・・は神の平等を識った。




────────────────────


《【覇王】の発生を確認しました》


《条件確認》

《規程レベル突破》

《ケテルの王冠:浸透率100%》

《コクマーの知恵:浸透率100%》

《ビナーの理解:浸透率100%》


《全条件を満たしていることを確認》

《秘匿イベント【天地へ伸びる大樹セフィロト・クリフォト】を発動します》


《レベル上限解放》

魂魄位階上昇ソウルタイプシフト

《対象の状態が第四境門ケセドへと進みました》


《条件達成》

《【人類の敵】が解禁されました》

《【魔王】が誕生します》


《Code: Birth》

《Type: Raid》

《Restriction:None》


《Advent Evil》


《魔王降誕》


《対象を【魔王】と認定します》

《対象が【いちなる簒奪の魔王 ラブマシーン】に進化しました》


《ワールドアナウンス》

《世界で初めて【魔王】が誕生しました》

《【魔王領域】が解放されました》

《【悪神】が解放されました》




《Danger!》

《Danger!》

《Danger!》


《同一領域内に【覇王】と【魔王】が存在することを確認》


《【大戦レギオンレイド】システムが解禁されます》


────────────────────


SIDE:鈴木亮一郎


《同一領域内に【覇王】と【魔王】が存在することを確認》


《【大戦レギオンレイド】システムが解禁されます》


「…………………は?」


いきなり大神さんが【覇王】とやらになったかと思えば【十二神将】とやらのお誘いが来て何が何やらわからんでいたら【魔王】?【悪神】?【大戦レギオンレイド】?

意味がわからない。助けてくれよ神様…


「ああ、そういやそこにいるんだったな神様」


少し見上げれば能天気な顔のオモイカネが…


「ちよっ!?おい、どうした!?」


いつもの能天気さは何処へやら頭を押さえて片膝を折り鬼気迫る迫力で何も無い虚空を見つめている。


「ううっ、《虚》属性の僕に情報量の負荷でダメージが入るとか一体どれだけのことを僕たちに隠していたのさ。僕ですらこの有様なんだから他の知神は倒れてるんじゃ無いか?…兎も角、やってくれたな全界定理君アマツサダメノキミ。僕たちにすら世界の半分を隠して居たんだから君の熱意が本物なんだと言うことはよくわかったよ。

ああ、よくよく考えてみれば不自然極まりないじゃないか。加護を授けない悪を司る神格達、モンスターの能力獲得。僕たち神道神格群は二面性を持つが故に気付き辛かったとは言えかのアンラ・マンユが居なかった事に違和感すら抱いていなかった。まず間違いなく僕たちにも思考誘導はかけていたんだろうね」


「ちょ、ちょっとオモイカネ!これ一体何が始まるのよ!?」


今この場の全ての者の代弁たる【天照大御神】の言葉に【常世思金神】は意を決して答える。






「人類と魔物、互いの存続存亡を賭けた闘争、そんなふざけた物の始まりが告げられたのさ」








《【大戦レギオンレイド】を開始します》


《【人類】

【覇王】

【一なる日輪の覇王】大神照義


【眷属】


【十二神将・子】

【十二神将・丑】

【十二神将・寅】衣良図劔

【十二神将・卯】

【十二神将・辰】

【十二神将・巳】

【十二神将・午】

【十二神将・未】間藤源治

【十二神将・申】

【十二神将・酉】

【十二神将・戌】伊武九郎

【十二神将・亥】

【■■神将・■】■■■■


【ユニット】

【依り代】六十四人

【汎用】五百四十八人


※人類の参加は強制ですが神格群の参戦は自由です

◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆

【魔物】

【魔王】

いちなる簒奪の魔王】ラブマシーン


【眷属】


【愚者】Unknown Copy α

【魔術師】Unknown Copy β

【女帝】Unknown Copy γ

【教皇】Unknown Copy δ


【ユニット】

擬似権限体サーヴァント】三億八百万五千六十二


《【条件】


【人類】

【勝利条件】

◆【いちなる簒奪の魔王】ラブマシーンの討伐

◇【愚者】Unknown Copy αの討伐

◇【魔術師】Unknown Copy βの討伐

◇【女帝】Unknown Copy γの討伐

◇【教皇】Unknown Copy δの討伐


【敗北条件】

◆【一なる日輪の覇王】大神照義の死亡

◆主戦力の内50%の逃亡


◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆

【魔物】

【勝利条件】

◆【一なる日輪の覇王】大神照義の討伐

◇【十二神将・寅】衣良図劔の討伐

◇【十二神将・未】間藤源治の討伐

◇【十二神将・戌】伊武九郎の討伐

◇【■■神将・■】■■■■の討伐


【敗北条件】

◆ ◆ 【いちなる簒奪の魔王】ラブマシーンの死亡


《【勝利報酬】

・【No.050 万物二分天秤 ライブラ】

・【電脳仮想領域 インターネット】

・サブ討伐対象撃破毎に報酬追加

※【人類限定】終焉の宴エンドレススタンピートまでのタイムリミットを10年増加

※【魔物限定】終焉の宴エンドレススタンピートまでのタイムリミットを10年減少


《【大戦レギオンレイド】開始までの準備時間を設けます》


《24時間後に【大戦レギオンレイド】を開始します》


────────────────────





















人よ、人よ、膨大なる数多の世界の隅々まで遍く広がりし不滅の種よ


神はその平等を持って全ての生命に試練を課す


人よ、人よ、恐れよ


人よ、人よ、震えよ


されど諦めること無かれ


どうかその身に起こる理不尽を超えてみせよ


そして終には我等にすら手を掛けることを今は遥か遠き座より永遠とわに待とう


人よ、人よ…






【終焉世界英雄譚】3章: 電脳仮想領域 インターネット



〜終〜



現在の奉納された神器の数【4/100】


────────────────────

【TIPS】

神は全ての生命に平等である。

故に人に極限の試練を、己の魂を拡張し究極への道程を歩みし魔物に祝福を与える。


【お知らせ】

カクヨムの方でロイヤリティープログラムを登録したのですがこの小説がお金を得た場合に何かしらの権利侵害になるかと思ったので解除しました。もし大丈夫であれば再開したいと思うので詳しい事を知る方がいれば感想などで是非ご一報ください。

もし再開出来ればテンションが上がって更新頻度が早まります。

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