第3話 アバターエディットです。ドワーフですよ。
「オープンワールド・・・・・・。サンドボックス・・・・・・」
お母さんが誕生日プレゼントでくれたゲームはMMORPGだった。
プレイヤーに主目的が無いタイプ、いわゆるサンドボックス型らしい。
「プレイヤーのレベルキャップが30なのは別にいいんだけど。解放されてるのが第三の街までって結構短くない?」
公式の開示情報を見ながら、そんな感想が胸についた。
「βテストということは負荷耐久テストが主目的だろう。ならばプレイヤーがばらけるのは意味が無かろうよ」
「むぅ、トラ先生の言うことは正論なんだろうけど。廃人さん達なら一日で終わらせちゃいそう」
「彼らがどれだけ遣り込めるかもテストの内だろうから開発運営もいろんな用意はしている筈だと思うがね」
「だといいんだけどね。公式見る限り、ジョブ決めて育成するタイプじゃないから色々試したりは簡単そうだけど。ま、いいや」
公式を見る限り、武器カテゴリは10個。
片手剣、両手剣、双剣、大盾、籠手、弓、槍、斧鎚、棒杖、魔本。
刀はたぶん片手剣にあるんだろうと思うけど、あんまり期待できない気がする。
キャラクリ時に武器を選んでゲーム開始時に初期武器がインベントリに直接付与されるらしい。
「スキルはレベルアップ時にもらえるスキルポイントで取得。術技(アーツ)はスクロールを買って習得ねぇ」
これ、レベル30に成るまでスキル取得しない方がいいのでは?
スキルポイントの総量がわからないし、欲しいスキルがあるのにポイント足らなくて買えないとか大惨事になるやつじゃん?
逆にアーツはゲーム内通貨でスクロール購入だからじゃんじゃん買って覚えるといいかな?
でも習得枠とか制限があったら面倒だな。
「ま、全てはゲーム始めてから確認すればいいね。トラ先生インストール終わった?」
「もう少し・・・・・・、いや、丁度終わったようだね」
そう言って、ゲームの起動ウィンドウを表示してくれるトラ先生。
ゲームスタート。ポチッとな。
ぶおんと目の前にアーチが出現した。
「このタイプかぁ」
このタイプはアーチをくぐればログインできるタイプで、大抵初回はアーチをくぐるとマネキンアバターにダイブしてアバターエディットすることになる。
「マネキンあんまりすきじゃないんだけどなぁ」
ぐちぐち言っても仕方ない。
「いってきまーす」
「たのしんできたまえ」
トラ先生の声を耳にしながらアーチを潜る。
一瞬暗転。
明転。
目の前にはホログラムディスプレイ。どうやら座っている状態らしい。
周囲はブルー一色。正式サービスになったらもう少しちゃんとした部屋になったりするのかな?
体を確認すれば、まっしろ無機質。
うん。マネキンだね。
ホログラムディスプレイを見てみると。
―― Steam Magi Technika βテストにようこそ ――
―― アバターエディットをはじめますか Y/N ――
「Yes」
ちゃんと音声入力も対応しているようで、ディスプレイの表示が変わった。
「うん。これくらいはちゃんと対応してないとね」
ディスプレイは種族選択画面に。
「ヒューマン、エルフ、ドワーフ、セリアン、マキナ、ダンピール、ね」
基本は押さえている感じ。
ヴァンパイアじゃなくてダンピールなのはたぶん意味があるんだろう。しらんけど。
「ん~、ヒューマンはなんか捻りがないしなぁ。あ、種族特性がある? 運命変転? 死亡時一定確率で復活かぁ。他は?」
全種族見た結果。種族特性は全部パッシブ。
エルフが森林の祝福、森林マップ限定ステータス倍化&リジェネ。
ドワーフが技工の遺伝子、生産成功率アップとクリティカル率アップ。
セリアンが獣の本能、暗視と五感の感度アップ。
マキナが生命防衛システム、最大HPの10%を防御力に上乗せと防御力10%の数値でダメージカット。
ダンピールが不滅の血脈、暗視と眷属使役(蝙蝠)とHP&攻撃力の値15%乗算乗せ。
「ん~ん~とりあえずエルフはなしかなぁ。リジェネは主義に合わない。ヒューマンも無し。セリアンはなんか武器持ちづらそうだから除外。マキナは、どうなんだろ? 防御特化な感じだけど、う~ん。ダンピール・・・・・・ドワーフ・・・・・・」
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「よし! 完成!」
結局、ドワーフにした。
クリティカルアップはやっぱり魅力的。
このゲームのクリティカル倍率がわからないからなんともいえないけど。
種族を決めるとアバターの容姿設定になってスライダーで色々いじれる仕様だった。
ドワーフは背丈があまり高くできないかわりに筋肉の増減が幅広い感じ。
とりあえず最低値。ちっちゃい子が大太刀振るう姿とかロマンだよね。
あと肌の色が赤褐色から赤系の黒色の間から選べて、髪色とか瞳色とかは自由。
肌の色は薄めの褐色。髪の色と瞳の色は金に見える黄色にしてみた。髪型はボブカット。
それと、右肩から胴にかけて刺青が入る。これは種族特徴らしくて消せなかった。
でもけっこう豊富にデザインが用意されてたからひとつぐらいは琴線に触れるのがあると思う。
私は千本の刀と蔦の意匠の刺青にした。
そうそう、ドワーフの女性アバターだとおっぱいがおっきい。最低値にしてもDカップはある。
超乳もできそうだけど魔乳まではいかない感じ。まぁ、最低値のDカップにしたけど。
腰回りはがっしりめ、太腿もほどよく太くして筋肉も盛っておく。
刀剣は足腰が重要なのだ。
ということで完成したアバターは見事にイカ体型ロリ巨乳幼女。
どうしてこうなったっ!!
「まぁ、ゲームだしいいか。かわいいは正義。ゲーム内でぐらいかわいいアバター使うわ」
性別をリアルと変えられるなら間違いなく男性キャラでいくんだけど、VRはなぜかリアルと同じ性別じゃないといけない。
詳しいことは知らぬ。
昔は背丈にも制限があったらしいけど最近は緩和されて結構自由に設定できるようになったからその内性別も変えられるようになるんじゃなかろうか。
「さて、名前はいつもどおり[エコ]にしてっと」
―― 初期武器を選択して下さい ――
「えーと、あるかな~」
スクロールスクロール。あった。
「ニュービーセーバー、ね。サーベル表記じゃないんだ。珍しい。選択。決定。yes」
―― キャラクターの作成が完了しました。 ――
―― サーバーオープンをお待ち下さい。 ――
「さって、できたし寝よ」
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