最終章:夢が生まれた日
僕は……
しかし財団は機動人間の技術を、人類や世界の調和のために利用しない--カシヒトたちは財団が所持している永遠銀盤の回収ができなければ、破壊することも考えていた。それはカシヒトがもとの寿命をまっとうして、延命もアンドロナイズもしないという選択でもあった。
カシヒトと「造られた」カシヒトの戦いは、
「僕は君だ」
「しょせん君も僕も、永遠銀盤という設計図から生み出された機械だ」
そうだ。
でも。
違う。
僕は……
僕、たち、は--
貯蔵エネルギーも限界となり、リモートからの通信も届かなくなる。つながりのない世界、電波技術暗室空間に引き込んだ「造られた」カシヒトは、カシヒトへセルフkillall、kill -9、init 0、rm -Rf を発動させる。それは財団から「生き延びるため」と間違って吹き込まれたプログラミングだった。
「僕たちはだまされていたんだな」
「造られた」カシヒトの、最後の発言は、後ろ半分がノイズでひずんだ。
「違う、僕たちは……」
最後の力をふりしぼって、カシヒトは彼を連れて重いドアを開く。外から扉を破壊しようとした、アイカ、リウノリ、
救い出されたカシヒトたちは、両親や皆に囲まれながら、……目を閉じた。
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