家守

佐久良水都

魄ノ第一章 『人』

 人は誰しも、目に見えない副業を持っている。

としたらどうだろう。僕は、それに、気付いた時、生きることを終えたいと、生きることを繰り返すことを止めたいと思った。

だって、どこまでいってもサラリーマンだ。組織の一員だ。どんなに闘っても、どんなに勝ち進んでも、どんなに苦しんでも、この一生の先には、まだ先がある。


 僕が、これを書く意味は大してない。ただ、読んで欲しい人は居る。いわゆる『霊感』があるような気がしている人。どうして、自分に『霊感』があるのだろうと悩む人。自分は何者だろうと彷徨う人。特別な自分でありたいと望む人。


【霊感】①霊的なものを感ずる不思議な感覚。インスピレーション。②神仏の不思議な感応。霊応。

【霊能者】日常と非日常の世界を媒介する特異な資質をもった宗教的職能者。


 霊感がある。というと、多くの人は、

「何か憑いていますか?」

「未来って見えますか?」

「何を考えているか分かりますか?」

 などと、訊ねる。

 そして、そういうことはわからないと言うと、

 嘘とみなしたり、変な人と嫌煙されたり、まぁ、大抵において好感は持たれない。逆に、だからといって霊感を持つもの同士でも、うまくは理解し合わない。そこは、現代日本のメディアや物語、宗教といった物に左右された常識に基づくものだろうかと思う。お祓いや透視や、予見、そういった事ができる人が、格上、格下を判断しあい、修行をしてその能力は強くなると思っている人達が往々にして存在している。

また、スターチルドレンや、龍族、魔族、神族など、自分の分類はここだと誇る人々がいる。

こんなことを言っては該当の方々に叱られるか、その関連の見えない方々に警告されそうだが。

 だから、何?というのが僕の見解だ。

 そう、唐突な出だしで、恐縮だ。

 僕の名前は佐久良(さくら)。誰から見ても少し付き合っただけで変な人とレッテルを貼られる残念な人物だ。表の仕事は会社員。住宅を販売する仕事をしている営業マン。三十五歳。独身。結婚願望は無いわけではないが、諸事情ゆえに、性別という枠、家族という枠に囚われるという概念さえ面倒だと思っているのが、家庭を持てない理由だろう。

 裏の仕事はという言い方をすると多少間違いがあるが、表現するなら今は『家守(やもり)』でいいと、後ろの方が勧めて下さるので、その表現にしようと思う。この仕事の外に、もうひとつ表現者という表向きの魂の属性が在るため、僕はこうして趣味活動の一貫で文章を書いている次第だ。

 さてここで、『表』と『裏』とは何だろうということを説明しよう。

 人間は誰しも魂と魄を持っている。

 魂が『裏』に該当する。魂は目に見えないもので、テレビゲームなどで表わすとわかりやすいかと思うが、RPGのプレイヤー、要するにゲームをプレイする人間の方だ。どんな人生を送らせたいか。どんなことを得意なスペックにしたいか。どんな修行をさせて何を身に付けさせたいか。どんな家庭環境でどういう性格にするか。魂はある程度選んで人生をスタートさせる。そして目的をクリアしながら人生を進めるために、コントロールする。

 魄がそうして設定されたキャラクター『表』だ。現在を生きている自分自身。

 けれど、魂はただ人生をプレイしているわけではない。魂の出身地や種類によって違うが、魂は仕事としてその人生をプレイしている。

 私って霊感があるかもと思っている人、霊感に悩まされて対処法を考えている人。そんな人に、僕の考え方も一つの見方として知って欲しい。自分の魂の仕事と属性を理解すれば、なぜ、人生はそう転がっていくのかはきっとなんとなくわかる。と、いう僕もまだまだわからないことだらけだけれど。

 自分を見つける一助になるように。まずは僕のことをお話しよう。

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